<アムンディ・エビアン選手権 事前情報◇9日◇エビアンリゾートGC(フランス)◇6504ヤード・パー71>フランスとスイスの国境にまたがるレマン湖を望むエビアンで、メジャー今季第4戦が10日に幕を開ける。日本勢は史上最多の12人が出場。昨年は古江彩佳が日米を通じて自身初のメジャー制覇を成し遂げた。そんな歴史的な瞬間を振り返る。
◇メジャー昇格前としては小林浩美(1997年)、宮里藍(2009年、11年)が勝利。日本勢に好相性で、なでしこに所縁ある大会と言われてきた。古江は21年大会に“スポット参戦”で初出場。4位で終えて、これが同年末に米最終予選会に挑戦を後押し。いわば“はじまりの地”でもある。4年連続4度目の出場となった昨年。予選2日間でともに「65」をマークし、2打リードの単独首位で週末へ。3日目は「70」と伸ばしあぐねたが、首位と1打差の2位で最終日を迎えた。伸ばしあいのなか前半で2つ伸ばしたものの、後半に入ってからは失速。12番をボギーとして、6ホールを残して首位と3打差がついた。だが、ここからが古江劇場の幕開けだった。14番パー3で10メートル以上をねじ込むと、15番もロングパットを決めた。16番パー3ではショットでピンに絡め、怒とうの3連続バーディを奪った。そして、ステファニー・キリアコウ(オーストラリア)と首位に並び、最終18番パー5を迎えた。グリーン手前には小川が流れるなか、古江はファーストカットからの2打目が池を越えて2オンに成功。キリアコウは2.5メートルのバーディチャンスにつけていたが、古江が先に4メートルのイーグルパットを流し込み、勝負を決めた。1年前の記憶を、古江は鮮明に覚えている。「14番からバーディラッシュだった。思い出がすごくあります。この1年は早かった。優勝した日を思い出しながら、練習ラウンドもしました」。コースや街には古江の写真であふれ、大会は大好きなピンク色に囲まれている。「すごくうれしいですね。ふふふ」と思わず笑みをこぼす。「獲ることのできない優勝かなってなんとなく思っていたけれど、メジャーで優勝できて、人生は変わりました」当時、グリーンサイドでは勝みなみ、西村優菜、西郷真央、山下美夢有らが見守り、シャンパンファイトを浴びせた。すでにホールアウトし、コースを離れていた渋野日向子も、祝福のために戻ってきた。「勝って当然の選手だったし、勝ち方も劇的だった。あれは鳥肌モノですよね。本当にたくさんの選手に勇気を与えた勝利だった」。渋野は昨年大会をこう振り返った。米ツアーでの勝利は2022年「トラストゴルフ・スコティッシュ女子オープン」以来2度目。樋口久子、渋野、笹生優花に続く日本勢4人目となるメジャーVの快挙を達成。表彰式では君が代が流れ、空からは日の丸を掲げたパラグライダーが降下。日の丸を背中にかけてもらった古江はそれを羽織ったまま、うれしそうにトロフィーを受け取った。(文・笠井あかり)
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