最近、不適切という言葉をよく耳にしますね。今回は昭和や平成初期のゴルフを振り返り、現在と比べて不適切かどうかを検証してみます。さて昔の常識は、今の非常識に見えるのでしょうか。
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1)みんなタバコを吸っていた 昔のゴルファーは、半分以上喫煙者みたいなところがありました。恥ずかしながら私も当時は喫煙者でした。タバコを吸うと、緊張感がほどけリラックスできる。しかもお腹を刺激するので、朝のうちにトイレを済ませやすい。ラウンド中は煙で風向きを計れると、いいこともあったんですがね。タバコを吸わない人の迷惑を、全く考えていませんでした。 灰皿はレストランやお茶屋、カートに備えつけてあり、さらにティイングエリアにも。吸ってくれといわんばかりです。だから喫煙しながらラウンドするのが当たり前でした。そもそもトーナメントのスポンサーがタバコ会社でした。だから試合中にプロがタバコを吸っているのをオンエアされることがあり、それがスポンサーにとって、美味しい絵柄だったのです。 試合中に堂々とタバコを吸えたスポーツはゴルフだけではないでしょうか。そういう意味では本当にスポーツなのか? ただ賭け事をするゲームなんじゃないか? そう解釈する人もいます。 というわけで次はこれです。 2)ゴルフは賭けるのが当たり前だった イギリス人の賭け好きは有名です。もともと海洋国家で船で外に乗り出すこと自体が冒険イコール賭けなので、国民性の問題かと思います。 その賭け文化がゴルフと一緒に輸入されたのでしょう。ゴルフをやるならニギるという風潮がありました。先輩や上司が「ニギらないと上手くならない」「競争をしないと成長しない」みたいなことを言うわけです。 ところが今やニギる人は、10人にひとりぐらいですかね。それも昔からの付き合いで、仕方なく惰性でやっている感じです。若い人から「ニギりませんか?」なんて発言は、一度も聞いたことないです。 なんで今、こんだけニギらない人ばかりなのか? それはゴルフの学習の仕方、覚え方が変わったからです。昔は先輩や会社の上司が、指導しながらラウンドしていました。それと同時に賭けも教えていたのです。というか授業料という名目の強制ニギリでした。 つまり、こんだけ下手くそなヘボに丸1日付き合っているのだから、賭けをして世話代を払えということです。だから賭けをふっかける先輩や上司は、負けることはありません。負けそうになったら「お前は上手くなったからハンデを変えよう」と言えばいいだけです。 今の人たちはスクールやYouTubeで学んだり、サークルや友達からアドバイスをもらうので、上下関係はなくなりました。しかも若者は経済的にアップアップなので、ニギる考えは浮かびません。 今は賭けなくても、乗用カートのスコアボードの順位表を見ていれば、そこそこ盛り上がれます。それで十分楽しいんじゃないですか。 3)キャディさんと不適切なこと 昔はキャディさんが付くことが多く、そこで若い女性だと、電話番号を聞いたりとナンパする人もいました。電話番号を聞くコツは「ここなかなか予約取れなくてさ、キャディさんのほうから予約入れてくれないか? お礼はするから」と言って、予約代行を頼んで仲良くなり、そこから次第に飲みに行くという関係です。 お金持ちのお客さんはもっとストレートに誘います。「今度東京に来るときがあったら、買い物をしてゴハンでも食べよう」と、キャディさんが東京に出かけたついでに会うのです。確率は低いですが、成功した人の話を聞いたことがあります。 今はめっきりキャディさんが減り、残っているのは名門コースのキャディさんばかり。ゲストプレーヤーが「あ〜林に入っちゃった」と言えば、キャディさんは「それでは暫定球お願いします」と答えます。「えっ? 前進4打ないの?」「うちは古い倶楽部だから、暫定球を打つことになっているんです」とたしなめられたりして。 昔のキャディさんは初心者に対し、指導員みたいなところがありました。林にボールを打ち込めば「はいアイアン3本持ってってくだい」と指導し、初心者が残りの番手に悩んでいれば「お客さんは7番だね」と勝手にクラブを選んで渡しましたから。 今のキャディさんは、プレーヤーの意志を尊重しろと教育されていますので、出しゃばりません。謙虚に「ラインを読みますか?」「クラブは運んでよろしいですか」と聞いて来ます。ほんと時代は変わりました。 4)お酒はどうなんだろう? ゴルフ場でお酒を飲む風習は昔からありましたが、飲酒運転の取り締まりが厳しくなってからは、ちょっと1杯だけみたいな人は激減しました。 じゃ、今はゴルフ場で飲酒する人が減ったのか? 代わりにノンアルコールビールなどが普及して、飲酒もどきを飲む機会は増えています。しかもガソリン代高騰、高齢化でくるまのひとり運転がきつくなり、相乗りでゴルフ場に来る人が増えました。運転は順番制にして「今回はお酒が飲める番だ嬉しい」なんて言ってね。 結果、ランチ休憩にお酒を飲んでいる人が、多いように見受けられます。さらにゴルフをレジャーととらえてる人も多く、アフターゴルフで反省会をやる機会が増えました。ゴルフがレジャー化に舵を切ったおかげで、飲酒をする機会が増えたのです。 個人的にはラウンド中の飲酒はなし。帰りの電車で1杯飲むハイボールの美味いこと。これが最近の楽しみですね。 5)おやじギャグ プレー中のおやじギャグは今でも言いますが、昔は不適切極まりない言葉が多かったです。極めつけは、寄せのアプローチや外からパターを打って直接入った場合に「やった〜、ノーズロじゃん」と言いました。 これはノーズロース、パンツを履いていないという意味で、そういうエッチな行為をするときに、パンツを脱がさないで直接してしまうことを指します。だからチップインバーディなどは、ひと手間省いた行為だからノーズロというのです。 ほんと不適切な表現ですいません。昭和文化を知るという意味で、お許しください。今もそこそこ下世話なオヤジギャグを言う人がいますが、さすが女性がパーティに含まれると口をつぐみます。 昔は女性がいればいるほど、下世話なオヤジギャグを言い放っていました。あれはなんだったんだろう。ゴルフは男の文化と言わんばかりの行為でした。ゴルフは女性プレーヤーが増加してかなり健全になりました。なかなかよろしい風潮だと思います。■プロフィール■木村和久きむら・かずひさ/1959年生まれ、宮城県出身。世の中のトレンドを追求し、ゴルフや恋愛に関するコラムを多数執筆するほか、マンガ原作も手がける。隔週刊ゴルフ誌「ALBA」ほか、連載多数。 とがしやすたか1959年生まれ。東京都出身。「青春くん」などで知られる4コマ漫画家。ゴルフ好きが高じて雑誌でラウンドレポートなども展開。◇ ◇ ◇ ●同伴者と6時間近く一緒に過ごすゴルフでは、空気を読まないといけないシーンが多数存在する。アナタに非がなくても相手の地雷を踏んでしまう可能性も……。関連記事【ラフに飛んだボールを探し続ける同伴者…切り上げさせる上手い方法は?「こんなとき、どうする」】
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