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「3Tours」で親子タッグ再び 鈴木亨と息子・貴之コンビがシニアチームを優勝に導く

<Hitachi 3Tours Championship 事前情報◇7日◇大栄カントリー倶楽部(千葉県)>

今季国内シニアツアーの賞金ランキングで5位の成績を残した鈴木亨。実はその息子・貴之が、シーズン中に3度のキャディを務めている。そして再び、12月11日(日)に行われる「Hitachi 3Tours Championship 2022」で父親のキャディをつとめる。

国内シニアツアーの試合会場の雰囲気について貴之は、「明るいです。レジェンドと呼ばれる方たちが集まっているシニアツアーで皆さん気さくに話しかけてくださるので、楽しみのひとつです。シニアと聞くと小技などを熟練されているイメージをボクは持っていましたが、ティショットが本当に安定していて、さりげなく学んでいます」と、話す。

父・亨のバッグを担いで、「ボクも学生のときに試合に出ていたのですが、キャディをさせてもらって改めてゴルフの難しさを知り、戦略性が高いスポーツだなと感じました。父のプレーを間近で見ていると、パットが入ってさえいれば……という場面が何回もありました。入らないことが続くと悪い流れになり、でも、バーディがくると流れがいい方向に変わったり。その流れを引き寄せることが大変だなと感じました」と、プレーヤーのときに感じなかったゴルフの難しさに気付いたという。

千葉県出身の貴之は、成田美寿々の母校である拓殖大学紅陵高等学校ゴルフ部で競技ゴルフに励み、今はツアーコーチの石井忍が主宰するエースゴルフクラブでレッスンをしている。

今年の8月におこなわれた国内シニアツアーの「ファンケルクラシック」でシニアツアー通算6勝目を挙げた父・亨については、「久しぶりに優勝する瞬間を生で見て、偉大な父親だなと改めて思いました。ただ、欲を言えばボクがキャディをしている試合で上位フィニッシュができるようにサポートしたかったなという思いもあります」と、自分のサポートで優勝させられなかった無念な想いを明かす。

家では父親だが、試合中は優勝を狙うプレーヤー。キャディをする上で意識していることがあり、考えるきっかけとなったエピソードがある。「実は、今年のコスモヘルスカップの初日に前半17、18番とボギーを打って2オーバーでターンしたんです。本人的にはボクがキャディをやっているのもあり、意気込んでいたのもあったのか前半は思いどおりにいかなく『もうダメだ〜……』と、いつものネガティブな父になってしまいました。そのときに『36ホール、試合はあるんだし今はミスが出るタイミングと思って切り替えていこう!』と声をかけたんです。すると後半から4連続バーディを獲り、何とかスコアまとめることができました」と、父親のネガティブな面をサポートしたことを明かしてくれた。

「その言葉が影響したかは分かりませんが、キャディがかける言葉は大事だなと。父はネガティブなので、そういう状態のときに励ますことをとくに大事にしていますし、父のメンタルを安定させるためにも、試合中は普段の私生活と変わらない様に接することを心がけています」と、息子だからこそ分かる父親の性格に合わせたキャディスタイル。そこを強みに「3Tours」でも父のプレーを後押しする。

「ゴルフというスポーツに出合うことができたおかげで、たくさんの出会いがありましたし、いろいろな経験ができています。素直に感謝の気持ちでいっぱいです。なので、ゴルフを通じて家族に恩返ししていきたいです」と話す貴之。

今後については「ボクの理想像はレッスンもできて、かつケガをしないための体のケアをサポートできる“二刀流”のレッスンコーチになることです。そのためにも父のキャディを経験させてもらっていることが大きな糧になっていますし、今はレッスンの経験をつみながら勉強もしています。いずれは、父と一緒に仕事ができたら嬉しいです」と、父との未来についても考えていると照れた様子で話した。

貴之は、12月11日(日)に行われる「3Tours」で今年最後のキャディをつとめる。今季ラストの親子タッグで、シニアチームを優勝に導く。(文・高木彩音)

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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