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単独首位の水巻善典、尾崎健夫のひと言で今季初の長尺パター「5メートル以内は絶対に外れない」

<いわさき白露シニア 2日目◇26日◇いぶすきゴルフクラブ(鹿児島県)◇7052ヤード・パー72>

国内シニアツアーの今季最終戦「いわさき白露シニア」は64歳の水巻善典が2日間ボギーフリーで「67」を並べ、唯一2ケタとなるトータル10アンダーに乗せて、2位に1打差の単独トップで最終日を迎える。今季は出場した全12試合でずっと通常の長さのパターを使ってきたが、今大会では昨年まで使っていた長尺パターに戻している。

水巻は昨シーズン、賞金ランキング46位で30位以内の賞金シードを逃した。そして今年は3月に行われた「PGAシニアツアー予選会・最終予選」で9位に入り、ここまでほぼ全試合に出場。賞金ランキング60位でこの最終戦を迎えた。出場義務試合数に届かない谷口徹と手嶋多一の2人を除く、賞金ランキング32位以内が来季の出場権が得られるが、50位以内に入れないと、12月に行われる「PGAシニアツアー予選会・1次予選会」に回ることになる。

「予選会の練習だと思って持ってきた」と、今季は一度も使用していない長尺パターで今週2日間はプレーしている。長尺パターを使うのは3月の最終予選以来。「長尺パターは5メートルくらいが入っても楽しくないんですよ。短いパターのほうが“入れた感”がある。それを欲しがっちゃった」と、4月の開幕戦「金秀シニア 沖縄オープン」から直近の「コスモヘルスカップ」まで短いパターを一貫して使い続けてきた。

「自分のなかで短いパターを使っている満足感というか、短いパターでもできるっていう気持ちを欲しがっていたのかもしれない。シーズン中も確率的には長尺パターのほうが入ると思ったけど、短いパターで上手く打てていた昔に戻りたい、そんな気持ちがあった」

しかし、コスモヘルスで転機が訪れる。「何で短いパターを使っているんだ」と尾崎健夫に聞かれた水巻は「入ったときに気持ちいいんですよ」と返した。すると健夫は「欲深いね」と。その言葉にハッとして長尺パターに戻すことを決めた。1次予選前の唯一の試合で長尺に慣れておこうと、久しぶりに引っ張り出してきた長尺パターが奏功し、優勝争いの主役に躍り出た。

「短いパターはグリップこうしようとか、ボールをしっかりコロがそうとか考えちゃうんですよ。長尺パターはただ持っていて、ラインとスピードのことだけ考えて打てばいい」と、今週はグリーン上でシンプルに考えられている。その結果、「ラインがわかったら、5メートル以内は絶対に外れないみたいな。そんな感覚です」とまでいう。

20年の「コスモヘルスカップ」以来、2年ぶりのシニアツアー4勝目に向け、残り18ホール。3打差以内には兼本貴司、寺西明、宮本勝昌、深堀圭一郎といった実力者がひしめく。大混戦のなかで64歳の水巻が大逆転シードへ逃げ切りを図る。

<ゴルフ情報ALBA.Net>