2022年のステップ・アップ・ツアーはいよいよ最終戦の「京都レディースオープン」が京都府の城陽カントリー倶楽部で16日(水)に開幕する。そこで同ツアーを放送するCSチャンネルのスカイAで16年からラウンド解説を行うプロゴルファーの下村樹美に今週の見どころを聞いた! 今回は最終戦らしく、今年の総括と来季レギュラーツアー出場権をかけた戦いについて。
■賞金女王は不在も… 来季レギュラー出場権をかけた熱い戦い
今年のステップは高卒ルーキー、櫻井心那の5勝という形で早々に女王争いが決した。ステップ史上最多勝利。そして獲得賞金も2500万円を突破するなど、櫻井が話題の中心だった。
「ステップの賞金ランキング1位と2位は来季のレギュラーツアー前半戦出場権を獲得。櫻井選手ともうひとり、その権利を獲得できるのは誰なのかというのが最終戦の見どころです」と下村が説明する。現在の2位は宮澤美咲で3位が篠崎愛。「二人の差はおよそ309万円。4位の西山ゆかり選手は優勝しても宮澤選手を抜けませんので、篠崎選手のプレーに注目です」(下村)。
優勝賞金は360万円。篠崎が優勝しても宮澤が51万円以上を獲得すれば宮澤の逃げ切り。「2位の座を狙うには優勝しかないので、篠崎選手はどれだけ攻めのプレーをできるか。リスクをとる戦い方をしてもいいのかなと思います」と下村。篠崎は今季の平均バーディ数が1位。ともに1勝を挙げている二人のデッドヒートからは目が離せなくなりそうだ。
■賞金ランキング10位までに入ればQT1次が免除
2位争いは白熱の展開必至だが、これまで何度も紹介しているもうひとつの戦いにも注目だ。「賞金ランキング10位までに入れば来季出場権を争うQTの1次は免除されてファイナルから出場できます。そのため、そこに食い込もうとする選手の頑張りも見物です」と一発逆転のシナリオも大いにありうると下村は見ている。
現在10位内に入っているのは今季の優勝者が8人で、未勝利者は4位の西山と10位の薮田梨花の2人のみ。「ステップ勝利を果たせば10位内入ってくる可能性が高い。つまり、最終戦で優勝した選手がジャンプアップしてくる可能性もあるんです」と下村が最終戦の動きを予測する。
続けて言う。「会場の城陽は砲台グリーンが多いコースです。縦の距離感が大事で、攻めていってバーディを獲れればいいのですが、ハマるとスコアを落としやすいコースでもあります。そこがどうでるか」。とにかくこの10位内を目指すのであれば、攻め続けなければいけないというわけだ。
「10位の薮田選手が700万9000円で11位の仁井優花選手がおよそ630万円、12位の丹萌乃選手が約618万円。この3選手は特に守りに入らずに、初優勝を目指す気持ちでやってほしいですね」と今年、下村が注目に挙げていた3選手による争いはおもしろくなりそうだ。
■ルーキー初優勝が盛り上げた2022年
とにもかくにも今年最後のステップ戦。下村が今季を振り返って思うのは、「ルーキーの活躍がめざましかったことです」だ。加えて、「昨シーズンの上位勢と顔ぶれがぜんぜん違うのも特徴。新しい選手が出続けているので、入れ替わりが激しい。ということは、選手層がどんどん厚くなっているということですね」と説明する。
「今年1年間のなかでルーキーの選手を多く取材しましたが、ステップでしっかり力をつけてレギュラーに行ってという考えを持っている選手が多かったように思います。文字通りステップしていくための過程だと考えていて、登竜門となるステップをしっかり活用しているんだなと感じますね」(下村)
5勝を挙げた櫻井、ステップ優勝直後にレギュラーツアーで2勝を挙げた川崎春花ら10代選手の台頭。「よりし烈になっているのがステップの争いです。ステップで技術とメンタルをため込んでいけば、レギュラーでもその経験が生きて、活躍できると思っています」。来年はどんな選手が出てくるのか楽しみだと下村も期待を寄せる。
解説・下村樹美(しもむら・じゅみ)
1988年5月13日生まれ、愛知県出身。2011年にプロテストに合格。ケガなどもあり一線からは身を引いたが、16年からはスカイAでラウンド解説をしている。プロ目線での解説が好評。今年もステップ・アップ・ツアーから選手のプレーの模様や声を届ける。
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