<ロッテ選手権 最終日◇16日◇ホアカレイCC(米ハワイ州)◇6603ヤード・パー72>
最終日に「70」をマークし、トータル9アンダーまで伸ばしながら優勝したキム・ヒョージュ(韓国)に2打及ばずの2位に終わった渋野日向子。“一騎打ち”の様相を呈した緊迫の優勝争いのなかでも、渋野は最後までライバルに惜しみない拍手を送り続けた。
ヒョージュ1打リードで迎えた最終18番のパー5。「イーグルとらんと無理だろうな」と逆転を狙った渋野の目の前で、韓国の実力者がスーパープレーを見せつけた。2打目をグリーン左サイドにこぼしながら、バンカー越えの30ヤードほどのアプローチをカップまで10センチというところまで寄せた。
その光景を見た渋野は、満面の笑みで両手を叩いて“大喜び”。その後、自身はバンカーからの3打目を完璧に寄せきることができず、逆転優勝の望みが途絶えることになった。
ラウンド後、このときのことについて聞いてみると、「あれはもうねバンザイでしょ。すごかった」と目を輝かせながら答えが返ってきた。さらに「あの状況では私には(あのアプローチは)打てない。やっぱり強いな」という思いもこみ上げてきたという。
そしてウイニングパットを決められた瞬間も、大きく手を叩いて祝福。笑顔のハグでお互いの健闘を労い、仲間からのウォーターシャワーを浴びるヒョージュを背にグリーンを降りた。
この他のホールでも、相手のパットがわずかに決まらなかったとき、まるで自分が外したかのように「あ〜」と声を出し悔しがる場面も。逆に渋野がナイスショットを打った後、ヒョージュが声をかけ、その言葉に微笑み返すこともあった。ともに喜び、ともに悔しがりながらの18ホールだった。
3日目を終えた後には、ヒョージュとの最終組が決まった渋野は「勉強しながら追いつけ追い越せできるように頑張りたい」と話していたが、まさに切磋琢磨。時折、強風が吹くなかでも2バーディにボギーなしというプレーで、最後まで食らいついた。そのうえでの惜敗だったが、渋野は「やっぱりレベルが高い選手。世界ランキング上位なので、一緒に回れてうれしかったです(笑)」と言って、優勝者を称えた。(文・間宮輝憲)
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