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岩井ツインズの“ここ”を知っていると面白い 小学校時代から姉妹のストーリーは始まった【ステップ・アップ・ツアー見どころ】

2022年のステップ・アップ・ツアーが29日に開幕! 舞台は福岡県のザ・クラシックゴルフ倶楽部。全16戦の初戦は、今季を占う上でも大事な戦い。そこで同ツアーを放送するCSチャンネルのスカイAで16年からラウンド解説を行うプロゴルファーの下村樹美に開幕戦の見どころを聞いた! 今回は昨年6月のプロテストに合格した岩井明愛(あきえ)と千怜(ちさと)姉妹にスポットライトをあてる。

■二人にとって思い出の地が開催コース

2020年10月。今大会の開催コース、ザ・クラシックゴルフ倶楽部は「日本女子オープン」を開催。そのときのローアマが14位タイに入った明愛。千怜も出場し予選を突破、40位タイに入った。アマチュアとして戦った場が、奇しくも、ステップ・アップ・ツアーの今季開幕戦の舞台だ。

プロ転向後、昨年9月には千怜が「カストロールレディース」で初優勝。その翌戦の「山陽新聞レディースカップ」では明愛が優勝と、姉妹連勝を果たして話題になった。そして今回、その二人がプロゴルファーとして戻ってきた。

そんな飛躍の年を経て、ことしは新たな1年がすでに始まっている。「今年に入ってレギュラーツアーでも予選を突破している2人がステップに出場します。やはり注目選手はツインズでしょう」と下村も自信をもって岩井ツインズの名前を挙げた。

二卵性の双子でありながらそっくりと言われてきた二人だが、「実はいろいろと話しを聞くと正確もゴルフも違うようなんです。そのあたりのお話をしてみたいと思います」。

■キーワードは「熱さ」と「抑揚」

下村が昨年、二人から話しを聞いた際に感じた印象は、「明愛選手はすごく引き締まった感じで、勝負にかける熱い気持ちが伝わってきます。千怜選手はほがらか、でもショットのときは真剣なまなざしで、抑揚をつけている感じを受けました」。簡単に言えば、勢い、情熱、落ち着き、冷静といった面がそれぞれ違っていると感じられたという。

「クラブ選択のときにも違いを感じました。明愛選手はしっかりと時間をかけて風を読み、クラブを決めていました。千怜選手はいい意味で、ゆるりと入っていく感じでしたね」と、プレーの面でもスタイルが違う。

「千怜選手はいろいろとゆっくり考えて話してくれますが、明愛選手はテキパキ、ハキハキと言葉を切りながら話してくれます」。ハッキリとその差が出ていた印象はあるが、「不思議な話もあるようです。同時に鼻歌を歌い始めたと思ったら、おんなじ歌だったことがあったそうです」。そこはやはり双子ならではのエピソードだ。

■小学校の時の二人は?

下村が入手した幼少期の二人の情報も、また面白い。「持久走は、二人で6年間トップ2を守ったそうです」。なるほど、この情報を開幕戦の練習日に二人に聞いてみた。「1年生から4年生までは私(明愛)で、5年生が千怜、6年生がまた私がいちばん。2位が千怜でした」と1、2フィニッシュは常に岩井姉妹だったという。

「お父様の教えも素晴らしかったようです。ゴルフももちろんですが人間性も素晴らしい二人。そこにはこんな言葉があったそうです」(下村)

・困っている人がいたら助ける

・ひとりぼっちの人がいたら仲間に入れる

・自分がやられてイヤなことはしない

・女の子と小さな子には優しくする

小学校時代には毎日、声を出してこれらを口にしていたという。「ゴルフ以前に人として立派になるという意識がすでにあったのでしょう。ゴルフもうまくて性格も素晴らしい。本当に魅力的な二人です」(下村)。

■二人合わせたら最強説!?

似てはいるけど似ていない。それでも双子ならではのエピソードはあとを尽きない。そんな二人はお互いのゴルフをどのように思っているのだろう。

「千怜はパターが本当にうまいんです。ソフトに打てているので距離感が出しやすいのかなと思います。軌道もいいんです」(明愛)

「明愛はショット、特にアイアンの(ヘッドの)入りがいいですね。トップからダウンのためとかもすごく、尊敬しています。そのスイングになりたいと思います」(千怜)

ここでも二人の考えはハッキリと分かれたが、ということは、二人が合わさったら最強? 「そうなりますね(笑)。もっとうまい方はいると思いますが、最強ですね」と笑い合う。

「明愛選手は山陽で攻める姿勢を貫きましたし、千怜選手はショートゲームのうまさ、パットのライン読みが上手です」と下村も分析。二人はなかなかこのような姉妹分析をすることはないというが、実際はタイプの違う二人。プレーを見てみると、動き、ショット、考え方、ルーティンなどの違いも分かってきそうだ。

解説・下村樹美(しもむら・じゅみ)

1988年5月13日生まれ、愛知県出身。2011年にプロテストに合格。ケガなどもあり一線からは身を引いたが、16年からはスカイAでラウンド解説をしている。プロ目線での解説が好評。今年もステップ・アップ・ツアーから選手のプレーの模様や声を届ける。

<ゴルフ情報ALBA.Net>