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3月にも宮崎ゴルフマンスを! 片山晋呉や谷口徹が出場した宮崎の新規大会を開催した「P’MAS」社長の宮崎愛

西郷真央が鮮やかな逆転で今季2勝目を挙げて幕を閉じた国内女子の「アクサレディス」。2013年に始まった同大会は、この時期の宮崎の風物詩である。その1週間前の3月15日、宮崎で新たなトーナメントが産声を挙げたのをご存じだろうか。ツアー外で1日競技の「第一回宮崎スプリングゴルフトーナメント P'MASインビテーショナル」。永久シード選手でツアー通算31勝の片山晋呉、同20勝の谷口徹ら男子プロ48名が参加して行われ、プロ3年目の23歳、木村太一が初代王者となった。

■多くのプロが合宿をする宮崎の地で実戦の場を提供

宮崎といえば、“日本のひなた”と呼ばれるほど温暖な土地。2〜3月でも半袖でゴルフを楽しめる日があるほどだ。プロ野球のキャンプ地としても有名だが、オフシーズンは男女の多くのプロが合宿地として利用している。「宮崎スプリングゴルフトーナメント」の発起人でもあるゴルフウエアの「P'MAS」を展開する赤平聖茂社長はそこに目を付けた。

「谷口(徹)さんや片山(晋呉)さんをはじめ、多くのプロゴルファーの方が毎年宮崎で合宿をやることは知っていました。多くのシード選手の方が宮崎にいるのなら、試合ができるんじゃないかと思ったのです」。地方からわざわざ足を運ぶのではなく、宮崎で合宿を行っているなら、優勝経験者ら実力者も試合に参加してもらえると考えた。

大会実行委員長にもなった赤平氏は、ウエア契約を結ぶ市原弘大や秋葉真一、久保谷健一ら選手を中心に各方面の関係者を頼り、選手の声掛けに奔走。目論見通り、片山や谷口のほか、宮里優作、手嶋多一、武藤俊憲、重永亜斗夢ら出場48人中、ツアーの優勝経験者は18人、賞金シード経験者は26人と豪華な顔ぶれになった。そして、女子ツアーの最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」でお馴染みの宮崎カントリークラブを舞台に選んだ。

国内男子ツアーの開幕を2週間後に控え、プロ野球でいえばオープン戦を行う時期。合宿だけでなく、“実戦の場”を設けることは選手にもプラスになる。期間中、宮崎で合宿を行っていた市原は「練習だけでは分からないことがあります。スイングにしろ、新しいクラブにしろ。試合の緊張感の中では力も入りますし、その場で判断できますので」。市原もシーズンインに向けて新しいクラブのテストを重ねていたが、実戦の場を通し、再調整のポイントを確認できた。「ツアーの開幕戦でいきなり実戦投入になると恐る恐る振ることになるので、こういう機会は本当にありがたいですね」と、この時期の試合を喜んだ。

■ゴルフのコンテンツで宮崎に人を呼ぶ 観光収入にも貢献する

赤平氏の狙いはプロのための実戦の場だけでなく、宮崎県への思いもある。「宮崎ではゴルフは観光事業と考えているところもあるので、ゴルフのコンテンツで人を呼ぶことで観光収入につながります。宮崎に一人でも多く来てもらいたいです」。今回はコロナ禍の影響から無観客で行われたが、来年以降は有観客の予定。宮崎県内外のギャラリーやツアー関係者も含めて、一人でも多く宮崎に来てもらうことが狙いの一つだ。その思いが届いたのか、第1回から宮崎県と宮崎市、宮崎市観光協会が後援に入り、優勝副賞として宮崎牛やマンゴーの提供を受けている。

ツアー外競技のメリットもある。昨年初シードを獲得した池上憲士郎は片山、手嶋多一組、昨年下部のABEMAツアーで賞金ランキング6位に入った飛ばし屋の坂本雄介は谷口、武藤俊憲組、今大会優勝したプロ3年目の木村太一は市原と塚田陽亮組など、経験豊富なベテランと若手を同組にし、若手プロ育成の側面を持たせた。また、選手インタビューはベテランの増田伸洋がホールアウト後にインタビュアーとなって選手の素顔を引きだすシーンもあった。

「ツアーの公式戦ではないので、好きなようにできるし、今までのゴルフ業界に縛られないスタイルでやっていきたいです。将来的には2日間、3日間と規模も大きくしていきたいですね。また、宮崎空港は韓国と台湾の直行便があります。日本と韓国、台湾の対抗戦も面白いですよね」。選手への実戦の場の提供、宮崎県への観光業のことを考えて、将来的には規模も大きくする構想を持っている。

■「P'MAS」(ピーマス)の名前の由来は人気アニメキャラ

“宮崎愛”が止まらない赤平氏は、もともと東京都出身。20年前にアパレルメーカーを辞めて宮崎で独立。「宮崎を愛しすぎたTシャツ屋さん」として、2007年に宮崎をモチーフにしたご当地Tシャツブランド「P'MAS」(ピーマス)をスタート。そして17年にはゴルフラインの「P'MAS GOLF」を始めた。P'MASのロゴには宮崎県をモチーフにした形が取り入れられている。

ちなみに「P'MAS」の由来は、「あまり言っていないのです」といいながらこっそり教えてくれた。赤平氏のあだなが「あかぴー」。そして赤平氏が大好きな機関車トーマスを合わせて「ピーマス」。「トーマスを見ると子供ってみんな笑顔になるじゃないですか。そんなブランドになりたいと思っています」(赤平氏)

毎年11月には、国内男子の「ダンロップフェニックス」、国内女子の「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」と2週連続でトーナメントが開催され、ゴルフマンスと位置付けて宮崎はゴルフ一色になる。3月は「アクサレディス」、そして「宮崎スプリングトーナメント」で3月にもゴルフマンスにする構想も浮かぶ。「関係各所に協力をいただいて1回目ができました。これからもいろいろな方の協力をいただきながら、宮崎の立ち位置を考えて枠にとらわれない大会にしていきたいですね」。地域創生という言葉がぴったりなゴルフトーナメント。トーマスではないが、誰もが笑顔になれる大会に育つのが楽しみだ。

<ゴルフ情報ALBA.Net>