横浜市・日吉のゴルフ練習場「梅里カントリークラブ」で、毎週2回(水曜、金曜)のジュニアレッスンを行っているオーストラリア人コーチ、マイケル“トモヤ”スミス氏。そこでは、コミカルなグッズやゲームを取り入れながら、ライトな英会話も交えて、子どもたちがゴルフを楽しみながらスキルアップを促すプログラムが組まれている。
打席の後ろには「レッスン中のやくそく」と書かれたホワイトボードがある。「4.たのしもう」という項目には「楽しくゴルフをすることが、上手くなる近道です!」というメッセージが示されていた。ゴルフに限らず、日本のスポーツ界には「とにかく球を打つこと」、「トラック1台分の球を打て」といった、武道的な教えが根づいているが?
「昔は『辛い練習をすると上手くなる』とか『2000球を打ち、体が痛くなるまでよくガンバりました』なんて言われましたが、いやいや、それでは子どもが体を壊すだけ。そういう“気合いと根性”を押し出した精神論のようなジュニアレッスンが、かつてありました。子どもたちは一人ひとり、みんな違うペースでゴルフをしています。かなり真剣にやる子もいれば、少し遊び感覚で取り組む子もいる。それでイイんです。子どもたちを横一線にしないで、それぞれの子にアジャストするように心がけています」(マイケルコーチ、以下同)
実際にレッスンのシーンを見ていると、マイケルコーチは子どもたちへ気さくに話しかけながら、アイテムを適切に使ってその子が上手く打つためのドリルを授けたりアドバイスを送る。子どもは上達すると楽しくなり、自ずと真剣に集中して球を打つ。そして、新たな課題が見つかるとマイケルコーチがレクチャーをして、再び夢中になって練習する。“楽しい”と“真剣”が共存しているのだ。「そんなやり方じゃダメだ」「なんでこうできないんだ」といった、日本にありがちな“粗探し”や“減点法”の指導ではない。
「日本でたまに見かけるのは、親が子どもを怒っていたり『もっとガンバりなさい!』と上から押さえつけるように教えていること。そういうシーンを見ると、あの子はゼッタイにゴルフが楽しくない、あと何年かしたらゴルフを辞めちゃう、というのがわかります」
ジュニア出身の若いプロがツアーで活躍する昨今、我が子をプロゴルファーにしたいと思う余り、練習で上手く打てなかったり競技で思うようなスコアが出せないと、その子を叱責したり罰を与えたり、ときには手を上げるケースもあるという。その結果、子どもが委縮してゴルフを楽しめなくなる、怒られるのがイヤだからスコアをごまかす――。
「私のレッスンではルール(約束事)がありますが、ホントに危険なとき『それは危ないよ』と注意するくらいで、怒ったりしません。例えば、母国・オーストラリアのスクールでは、クラブ対抗によるジュニアのチーム戦がありました。でも仮に、トップ選手が悪いことをしたら『あなたは来週の試合はノープレー』となります。スター選手でも関係ありません。その選手が何かをしても先生が見ないふりをしていたら、子どもたちからの“信頼”がなくなってしまいます」
この日のジュニアレッスンには、マイケルコーチが一番長く教えているという姉弟の生徒がいた。宮本もみじさん(小学5年生)と笑門さん(えもん・小学2年生)だ。もみじさんは稲見萌寧、笑門さんは松山英樹に憧れていて「今、ゴルフが楽しくてしょうがない」と言う。練習場に来てマイケルコーチの顔を見ると、2人そろって「Hello!」と元気よくあいさつをして、レッスン後は「See You!」と言い、母親と一緒に帰っていった。
「子どもたちは“遊び感覚”で楽しく球を打っていますが、そこには必ず“レッスン”の要素が入ってます。遊びながら上手くなる、というイメージ。決して押しつけるのではなく、楽しいから『もっとやりたい』『この次が楽しみ』と思ってもらえれば、ボクの仕事はできたと言えるんじゃないでしょうか」(取材・文/新井田聡)
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