ジュニアゴルファーを教えて20数年のオーストラリア人コーチ、マイケル“トモヤ”スミス氏。ジュニアの指導というと「プロを目指せ!」「もっと頑張れ!」と肩に力が入ったレッスンを思い浮かべるかもしれないが、マイケルコーチはもっと広い視野で子どもたちと接している。
「ティーチングをする以上はいい選手を育てたいし、ボクが教えたジュニアが試合で優勝してくれたらとても嬉しいです。一方で、ジュニアレッスンの生徒さんが、この先長くゴルフを楽しんでくれたら、それも同じくらい嬉しい。そういう思いで子どもたちと接しています」(マイケルコーチ、以下同)
横浜市・日吉のゴルフ練習場「梅里CC」で毎週2回(水曜、金曜)、各1時間のジュニアレッスンを行っているマイケルコーチ。現場の「レッスン中のやくそく」と書かれているホワイトボードの2つ目は「おもいやり」とある。そして「なかま、ほかのお客さん、スタッフ、そして自分を思いやろう」というフレーズが続く。
「私の生徒さんには、シャイで初めのうちはコミュニケーションをほとんどしなかったけれど、このレッスンに来て変わった子もいます。性格もマナーもいい子はホントに応援したいし、ガンバってほしいと周りから思われるでしょう。それでも、上手いからといって11歳でプロを目指すプログラムを作ってしまうと、まだまだ道が遠いし、途中でイヤになってゴルフを辞めちゃうかもしれません。もっと自然にステップアップしてもらえたら良いですね」
実際にこれまで、ジュニア時代に指導に携わってプロになった人はいる。マイケルコーチがかつてヘッドプロとして所属した「さくらゴルフアカデミー」(鹿児島)では、池村寛世や出水田大二郎が代表的なジュニアだった。
「トモヨ(池村)が入ってきたときは10歳でしたが、今まで見たなかで最も上手い10歳。それこそ“天才”です。ダイジロウ(出水田)はドライバーとロングアイアンが上手なショットメーカー。2人とも『この子はちょっと違うな』という感じでした。
ただし現実的には、プロになったりトッププロとして活躍できる選手は、ほんのひと握りしかいません。プロゴルファーだけじゃなくて、キャディマスターやグリーンキーパーなどコースのスタッフ、プロキャディ、メーカーなど、ゴルフに関わる他の仕事で活躍する人生も素晴らしいと思います。
ゴルフとは関係がない会社に勤めても、ゴルフが上手ならネットワークが広がってビジネスチャンスにつながるかもしれません。ゴルフを通じて良好なマナーとコミュニケーションを身につければ、世界がもっと広がるのでは。良いゴルファーであり、良い性格の人間になる。そういうバランスが大事だと思っています。『プロにならなきゃダメ』という考え方は、ちょっと視野が狭いのではないでしょうか」
ゴルフは個人競技ゆえに、自己チューでわがままな人間が育つと思われがちではないだろうか。しかし、その日のラウンドがスムーズに速やかに進行するには、前後の組の進み具合を視野に入れながら、同伴競技者への配慮と連携プレーが必要とされる。その実、団体競技で求められる要素を学べるスポーツでもあるのだ。
自分のスコアをひたすら追求する“ベストゴルファー”を志す道もアリかもしれないが、周りの人たちを思いやりながら心地よくプレーできる“グッドゴルファー”を目指すことが、ひとりの人間として心身ともに健全な成長につながるのでは?(取材・文/新井田聡)
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