<ファンケルクラシック 2日目◇21日◇裾野カンツリー倶楽部(静岡県)◇7040ヤード・パー72>
国内シニアツアー「ファンケルクラシック」の2日目に珍事が起こった。アウトコースの第一組目でスタートする芹澤信雄、高見和宏、米山剛の3人が、1番ティで「全員黄色なの!?」と盛り上がっていたのだ。
写真を見てもわかる通り、“黄色”とはボールのこと。芹澤と米山はタイトリスト、高見はスリクソンとメーカーは異なるが、3人とも白ではなく黄色いボールを愛用している。調べてみると、今大会に出場しているプロ72人、アマ6人の合計78人のうち、24人が黄色いボールを使っていた。割合は実に30.8%。シニアツアーではおよそ3人に1人が黄色いボールでプレーしていることになる。
50歳オーバーのシニアツアーで、黄色いボールが流行っている一番の理由は“視認性”だ。芹澤が「ボールを打ったときの最後の落ち際が見える。白だと見えない。どこに落ちたかハッキリ見えるからホッとするんだよね」と話すと、高見と米山も「そうそう。間違いない」と同調する。ラフに入ったときでも「見つけやすいから探すのに時間がかからない」、遠くからでも「反射してくれるから見やすい」と次々と黄色のメリットが出てきた。
シニアツアーでの黄色いボールの使用率の高さについて聞くと、「多分、55歳を過ぎている人の黄色いボールの割合はもっと高いと思う。知っているだけでも奥田靖己(61歳)、加瀬秀樹(61歳)、室田淳(66歳)さん、中嶋常幸(66歳)さん、倉本昌弘(65歳)さんも黄色だし、みんな黄色だよ」と高見はいう。ちなみに高見と芹澤は61歳、米山は56歳だ。
ツアープロの使用率が高いタイトリスト『PRO V1』シリーズのイエローが発売されたのが19年の3月。その前からスリクソンやブリヂストンでも、ツアーボールのカラーバリエーションは発売されていたが、タイトリストが一般ゴルファー向けではなく、アスリートゴルファー向けの『PRO V1』シリーズでイエローを出してから、ツアープロの間でもカラーボールの使用率が一気に加速した。
今では、目の衰えを感じている50歳以上のシニアプロだけでなく、26歳の比嘉一貴や33歳の中西直人、43歳の小田孔明といったレギュラーツアーのシード選手たちもカラーボールを使っている。レギュラーツアーでは3割とまではいかないが、切り替える選手は年々増えているのだ。
「白よりも黄色のほうが硬い」というプロもいるが、実際はどうなのだろうか。芹澤は「確かに最初に打つとみんな硬く感じるっていうよね。だけどそれは感覚の問題。慣れちゃえば一緒だよ」といい、高見も「科学的には変わらない」と追随する。
カラーボールには黄色以外に、オレンジや赤といったバリエーションもあるが、シニアツアーでは黄色しか見られなかった。「黄色が一番目立つ。ベストは黄色です」と3人は口を揃える。
逆に黄色いボールのデメリットも聞いてみた。「練習場に行くと白いボールしかないから、黄色で練習したいって気持ちになる。最初は不安があるけど慣れちゃえば大丈夫」(芹澤)。「アプローチするときに天気が良いと、フェースに黄色っぽく映るのは最初気になったかな」(高見)。結局、使い始めてしまえばデメリットはないようだ。
米山は「もう白には戻れない」としみじみ。最後に芹澤は「アマチュアはボールが曲がるから余計に黄色がいいと思うよ」とチクリ。左右に曲げてボールを探すことが多いゴルファーは、黄色いボールでストレスが減り、プレー時間とともにスコアも短縮できるかもしれない。
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