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“バッグを担がない”プロキャディ 五輪を支える影のサポーター

<東京五輪ゴルフ競技(女子) 3日目◇6日◇霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県)◇6648ヤード・パー71>

開幕前から懸念されていた暑さが、容赦なく出場者の体力を削っていく。日本各地で猛暑が続き、霞ヶ関カンツリー倶楽部も連日の30度超えだ。

初日にはレクシー・トンプソン(米国)のキャディがプレー中に熱中症でダウンし、残り数ホールは米国代表チームの関係者にバトンタッチ。なんとか18ホールを回りきったが、レクシーがホールアウトするまでの数ホール、コース脇について見守っていた“影のサポーター”の姿があった。

「残りホールが少なかったので、よかったです」と笑うのは、小平智などを担いできた上村朋宏キャディ。男子競技から霞ヶ関CCに入っているが、まだ誰のバッグも担いでいない。五輪の“控えキャディ”として呼ばれていたひとりだった。

霞ヶ関CCが会場に決まってから、暑さ対策の一環と、コロナ禍でキャディが出場できなくなった場合を考えて、控えキャディの存在は必須とみられた。とはいえ、人選にも悩むところ。そこで平等な目で選べるようにと大会側が目をとめたのが、昨年発足した「日本プロキャディー協会」だった。

同協会の代表、森本真祐氏にオファーがいったのが1年ほど前。「どの国の選手のキャディになるか分からないので、英語が話せるということが条件でした」と、海外経験があるキャディなどをピックアップ。英語のテストも受験して、その結果を大会を運営する国際ゴルフ連盟(IGF)に提出、日々のPCR検査を行うなどした上で、3人の控えキャディを確保した。

男女あわせて120人が出場する東京五輪。3人では少ないのでは…と思ったが、今のところ実際に出動はしていない。「待機するだけというのも大変ですが、それが仕事。まずは無事に進んでいてよかった」と森本氏。レクシーのときも上村キャディが急行したが、残り数ホールだったのでチーム関係者が交代。とはいえ、プロキャディではないため、無事にホールアウトするまで見守った。

「なかなかない話だったので、興味はありました。協会ができるとこういうのもできていいですね」と、今日もトラブルに備えて1日を終えた。オリンピアンキャディとして舞台に上がる機会はまだないが、五輪を裏で支えたひとりなのは間違いない。(文・谷口愛純)

<ゴルフ情報ALBA.Net>