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今季残りは賞金総額60億円 新生LPGAはニュー・ノーマルの時代へ

米国女子ツアーの新日程が再度1カ月遅れる発表がされた29日、コミッショナーのマイク・ワン氏がビデオ会議でメディアと会見を行った。

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「まだまだ予断を許さない状況だが、いいニュースもたくさんある。再開すれば超多忙なシーズンが待っている」とその声は明るかった。

紙日程では7月15日開幕の「ドウ・グレート・レイクス・ベイ招待」を皮切りに21大会が開催、最終戦の「CMEグループ・ツアー選手権」は12月17〜20日とクリスマス直前まで続く。そのあいだにオープンウィークは11月の2週だけ。さらに賞金総額は増額されて残り試合で5600万ドル(約60億円)、1試合平均が270万ドル(約2億9千万円)となり「これはLPGAツアー史上で最も高額だ」と胸を張った。

新型コロナウイルス感染拡大で世界経済が大打撃を受ける中、欧州男子ツアーでさえも「再開後には賞金は減額となる」とキース・ペリー会長が選手宛にメッセージを送ったほどなのに、なぜ米女子ツアーこんなことができたのか?

ワン氏は「その答えはシンプル」とし、「開催が中止となった大会のスポンサーが。他の開催される大会のために賞金を出してくれた。我々のタイトルスポンサーは良きパートナーを維持したいと望んでくれた」とこれまでの関係の良さが発揮されたという。

しかしながら再開後には“ニュー・ノーマル”、新しい環境でのツアーとなることも語った。

「まずは検査を実施することが最も大事なこと」として、現在は米政府と連絡を取り合い、新しい検査キットが供給されることも含めて準備中とした。検査が1週間で何回行われるかなどは決まっていないが、検査にかかる費用は100万ドル(約1億600万円)以上と試算される。

またツアー中の滞在についてもこれまでとは大きく変わることにも言及した。ホテルに滞在するのではなく、“ハウジング”と呼ばれる開催コース近くの地元ボランティア、ホスト・ファミリーの家に滞在する選手が実は半分近くいるのだが、「少なくとも今季は望ましくない」とし、ホテル滞在とする方針だ。

いくつかの試合で無観客となり、また大会前に開催される“プロアマ戦”が行われない可能性もあるという。「ファンもいなくプロアマ戦も開催されない大会は、これまでとは大きく違うLPGAツアー。だが今後はあらゆる場面で“ニュー・ノーマル”となる」とした。

各大会はその45日前には詳細を決定するとし、「あらゆる手を尽くして2020年シーズンを素晴らしいものにしたい」と明るく前向き。2010年にコミッショナーに着任して11年目、スポンサーをなくし厳しかったLPGAツアーを立て直して来たワン氏。再びその手腕に期待がかかる。(文・武川玲子=米国在住)

<ゴルフ情報ALBA.Net>