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風、パットに苦しみ「心は痛んでます」 苦境のなか松山英樹が魅せた会場熱狂の“神アプローチ”

<マスターズ 初日◇11日◇オーガスタ・ナショナルGC(米ジョージア州)◇7555ヤード・パー72>2021年に続く大会2勝目を目指す松山英樹は、グリーンジャケット奪還に燃え開幕を迎えたが、苦しい船出になってしまった。特に「昨日の夜から分かっていたけど、なかなかセカンドショットでうまく対応できなかった」という風と、「入れたいパッドをことごとく外してしまっていた」というグリーン上がスコアメイクを困難にした。

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序盤はショットが乱れてもアプローチ、バンカーでパーを拾う展開。ただ4番パー3で、ピン奥1メートル強から下りのバーディパットがカップに嫌われるなど、耐えても流れがやってこない。さらに6番パー3で、15メートルから3パットのボギーが先に来てしまう。続く7番パー4も、2打目のバンカーショットを奥1.8メートルまで寄せながらパーパットがカップに蹴られてしまう。歯がゆい時間が続く。後半に入ってもチャンスが決まらず、天を仰ぐシーンが目立った。ようやく初バーディが来たのは16番パー3。上りの2メートルを決めたものだ。しかし17番でアプローチを寄せきれずにボギーが来ると、18番では3度アドレスをほどくほどグリーン上で強風にあおられ、1メートルほどのパーパットに失敗した。「18番はボギーを打ってしまって心は痛んでます。まあ、あしたに切り替えて。あしたで終わらないように頑張りたい」。それでも、精いっぱい前を向いた。ただ、そのなかでも歴代王者らしいプレーも随所に見られた。例えば、セカンドショットを大きくグリーン右に外した、アーメンコーナーの11番パー4もそれにあたる。傾斜に止まったボールで、アプローチは左足下がりという状況。そこから低く打ち出すと、一度、グリーンのカラー付近で勢いを殺されたボールは、そのまま下り傾斜をつたい50センチのところにピタリと止まる。この“神アプローチ”を見たパトロンからは、大歓声と拍手がおくられた。松山自身も「いいアプローチだった」と振り返る場面だ。その後には「12番もよく拾えたと思う」という言葉を続ける。このパー3は、ティショットをグリーン右手前のバンカーに外しながら、やはり50センチまで寄せてパーをセーブしたホールのことだ。風の影響もあり、パーオン率が61.1%にとどまった初日はグリーン手前のバンカーからショットを放つ場面も4度訪れた。前述したように7番こそ短いパットを外してしまったが、その12番などいずれも見事なリカバリーショットで、しぶとく次につないでいった印象も残す。4オーバーは暫定75位。上位50位(タイ)に設定されたカットラインまで、現時点で3打及んでいない状況だ。「あしたいいプレーをすることが大事だと思うので、それに向けて準備したいと思います」。苦境のなかでも王者の意地は見せた。この日頭を痛めたパッティングと、風で距離感を狂わされたショットを調整し、“反撃の2日目”にしたい。(文・間宮輝憲)

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