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初のマスターズ…「自分は一番のチャレンジャー」 21歳・久常涼が王者・松山英樹とのラウンドで学んだこと

<マスターズ 事前情報◇9日◇オーガスタ・ナショナルGC(米ジョージア州)◇7555ヤード・パー72>初めて立つ憧れの舞台の開幕が近づくにつれ、21歳の若武者にさまざまな感情が交錯する。「まだフワフワしてます」。苦笑いを浮かべながら、特別招待で出場する久常涼はそんな本音もこぼす。だがそのなかで9日(火)には松山英樹とのアウト9ホールの練習ラウンドに臨み、多くの実りを得た。

オーガスタで撮影! 久常涼の豪快ドライバースイング【連続写真】

先週出場した「バレロ・テキサス・オープン」の前週にオーガスタを訪れ2ラウンドを積んでいたため、この日のハーフラウンドが2.5ラウンド目。しかし、その様子は大きく異なっていたという。「この間は雨ということもあってグリーンが軟らかかったけど、きょうはすごく硬くなっていて印象が違った。松山さんも『えっ』て言ってたくらいなのですごく硬いんだなって」。本番が近づき、コースが仕上がってきていることをまずは実感した。そしてその雰囲気もまるで別物。すでにオーガスタには、練習日とは思えないほど多くのギャラリーが詰めかけており、それが本番さながらのムードを作り上げている。「ティショットはすごく緊張しました。谷口徹さんに『練習ラウンドはめちゃくちゃ緊張した』という話を聞いていたんですけど、“ですよね”って思いました。怖いですね」。初のマスターズは、久常にとって初の海外メジャー大会でもある。これまで戦ってきた試合とはスケールも異なる。月曜日は練習のみの調整にしたため、これがマスターズウィークに入り初の練習ラウンドだったが、そこで2021年大会の王者とプレー。プレー中は1番のスタート直後から、積極的に後輩へアドバイスを送る先輩の姿が見られた。その言葉やプレーは、久常にとって驚きの連続だったともいう。「そこを使って寄るんだと思ったり、僕が見ていたところとまったく違う場所を使って寄せていました。2ラウンド回ってきたし、少しは(コースを)分かっていると思ってたけど、やっぱり全然足りなかったですね」。グリーン周りのアプローチ、グリーン上でのライン読みなど、そのアドバイスのひとつひとつが血肉になる。「そこに打てる自信はないんですけど、少しコースの特徴は分かるようになった。あとはしっかり準備をしたい」。これ以上ない教科書がすぐ近くにある。「一番出たかった試合がマスターズ。そこに出られることにビックリしています。限られた超スターしかいない試合」と小さな頃から夢にまで見た舞台に今立っている。「動じてますね(笑)。ただ、舞い上がるのが一番よくない。それを落ち着かせていい準備をしていければ」。感情を必死に抑え込む時間が続いている。ラウンド後も、松山を追うように、ショット練習、アプローチ、パターの調整に時間を割いた。ラウンド開始は午前10時。そこから午後3時までみっちりと練習を続けた。ただ当然ながら「楽しみな気持ちが大きい」。そして、「自分は一番のチャレンジャーなので、あまり気負うこともない。楽しくプレーできれば」という言葉を続ける。先週からショットのフィーリングがあまりよくないことも明かし、残り1日でその修正を急ぐことになるが、ワクワクした気持ちを胸に4日間戦うことを最初の目標に掲げている。「(オーガスタは)全部すごい。松山さんがここで優勝してそれもずっと見ていました。その松山さんと一緒に練習ラウンドをして、いろいろ聞くことができたのは大きいし、一番印象に残るできごと。この舞台でプレーできることはなかなかない。これから毎年来ることができるように頑張りたい」あす10日(水)も、松山とともにインの9ホールを一緒に回り、その後には大会恒例のパー3コンテストへの出場を予定している。「(レジェンド選手たちを)あまり見すぎると舞い上がっちゃうかな。(タイガー・ウッズも)まだですね。見たいけど…ひっそりと(笑)」。昨年9月にはDPワールド(欧州)ツアーを制し、今季は米国ツアーを主戦場にする昇り龍は、初々しい気持ちとともに初めてだらけの毎日を過ごしている。(文・間宮輝憲)

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