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「ティショットの飛距離が100ヤードやった(笑)」 リランキング突破目指す木下彩の大ピンチのちナイスセーブ

<ニチレイレディス 初日◇16日◇袖ヶ浦カンツリークラブ・新袖コース(千葉県)◇6621ヤード・パー72>「あれは一生(カップまで)届かん。組のみんな入らん」。そんな重たいグリーンを前に苦戦もしたが、木下彩は1アンダーと赤字は死守してクラブハウスに戻ってきた。最小アンダーではあるが、4月の「KKT杯バンテリンレディス」から3週前の「リゾートトラスト レディス」まで続いた7試合連続予選落ちの頃に比べると、「春先から考えるとショットが違う」と、確実に状態は上がっている。

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転機になったのは1打及ばずに決勝ラウンドを逃したリゾートトラストレディスだった。ここでアイアンをミズノの「JPX 923ツアー」に替えたことが、「むっちゃでかかったです」と振り返る。柔らかいボールが打てるアイアンを探していろいろと試した結果たどりついた1本。「ミズノは、人生で使ったことないし、初めまして。ただ操作しやすかった」と手になじみ、感覚派の木下がイメージする球筋が戻った。ドライバーもしっかりと曲がるように、慣れ親しんだブリヂストンのクラブを再びバッグに差した。するとリゾートトラスト翌週の月曜日(5月29日)に千葉で行われた「全米女子オープン最終予選」を3位で通過。7月6日から米カリフォルニア州のペブルビーチGLで行われる本戦のチケットを手に入れた。さらに同週の「リシャール・ミル ヨネックスレディス」で22位タイになり、先週の「宮里藍 サントリーレディス」も「最後に『83』を叩いた。ま、そういう時もある」と苦笑いの一日はあったが4日間を戦い抜いた。そんな上り調子のなか、全日程終了後に昨年末のQTで決まった優先出場順位を見直すための第1回リランキングが行われる、今週の大会を迎えることができた。メルセデス・ポイントがベースになるそのランキングで現在40位に位置する。少し前までは、「リランキングよりも、目の前のゴルフが大変で…。かみ合わない感じが続きすぎて」という状態だったことを考えれば、しっかりとプレーに集中できるだけでも大きい。このリランキングで、中盤戦にフル出場できる見込みが立つのは上位30位+α程度と見込まれる。「もう少し今週頑張りたい。30位なら安心できるけど、40位だと不安」と安全圏を目指していく。リシャールミルで15pt、サントリーで2.55ptを上積みし、今の合計ポイントは51.45pt。3週前まで33.9ptだったことを考えると、巻き返しは見せている。QTランキングが2位だっただけに、大きく優先出場順位が下がることにはなりそうだが、そんな位置よりも試合に出られるか、出られないかが重要になる。この日の前半18番パー5では、ティショットにミスが出て「右の木にぶち当たって飛距離が100ヤードやった(笑)」という大ピンチも訪れた。「木はそこにあるのは分かってたけど、普通そこ行く?って感じで。あそこが計測ホールだったら、絶対最下位だった(笑)」と本人でさえ目を疑うようなシーンだったが、ピンまで170ヤードだった3打目をなんとかカラー付近まで運び、2パットのパーでしのいだ。「大トラブルにならんでよかった。とりあえず1個(バーディを)獲ろうと思ってたら、大ピンチやんって」。粘り強さも戻ってきた。「ほんとに誰も入らん。同じ組の選手同士で、声を掛け合う時『ナイー』までいくけど『ス』が全然でてこなかった(笑)」というグリーンは明日も待ち構えている。ちなみに木下が目指すリランキング30位クリアのためには、最低でも27.32ptが必要。他の選手との兼ね合いもあるが、単独16位以上で突破の目がでてくる。この日奪った前半10番、後半1番の2つのバーディは、2メートルと7メートルを決めたもの。それ以外にもつけたチャンスを生かすことができていれば、もう少し伸ばせていたという手ごたえもある。「もうちょっと入ってくれれば」。サバサバした口調で、ミスすらも楽し気に振り返る明るさは大一番でも健在。強気のパットでバーディを量産し、中盤戦出場権のボーダーにしっかりと手を届かせたい。(文・間宮輝憲)

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