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「一歩間違えたら僕の家族が…」比嘉一貴がマスターズで巨木が倒れるのを目撃

<マスターズ 3日目◇7日◇オーガスタ・ナショナルGC(米ジョージア州)◇7545ヤード・パー72>「マスターズ」の2日目に、雨と突風の影響により、17番ティイングエリアの左サイドにある大きな木が3本倒れるアクシデントが起こった。幸いケガ人はなかったが、その下に選手やパトロンがいれば、大惨事になっていた可能性がある。

こんな大木が倒れるなんて…【写真】

そのとき、比嘉一貴は現場近くの15番グリーンにいて、「最初は16番のスタンドにいるパトロンの歓声だと思った」という。16番パー3はティイングエリアのわきにスタンドがあり、オーガスタのゴルフショップで買える緑色のトーナメントチェアがホールを囲うようにたくさん並ぶため、歓声がひときわ大きいホールでもある。ところがそれはプレーに対しての歓声ではなかった。「メキメキメキメキと僕がストレッチしているような、筋繊維が切れるような音と、すごいドーンッという音が聞こえて、大きい木が目の前から消えた。どんどん悲鳴みたいになっていった。映画みたいな景色が…」と現場の生々しい雰囲気を語る。続けて、「ケガ人がいなくて良かったんですけど、本当に一歩間違えたら僕の家族がそこで観ていたかもしれない。すぐ近くにいたから良かったんですけど、不安になりました。それこそタイガーとかの組だったら、パトロンで埋め尽くされているような場所だと思うので、本当に何もなくて良かったなと思います」と、そのとき比嘉の気持ちはプレーどころではなかった。今週は父親の洋さん、義母とその姉妹が応援にかけつけ、比嘉がラウンド中に食べるおにぎりを握るなどしてサポート。もちろん、みんな比嘉の組についていた。巨木が倒れてからすぐに2度目の中断のホーンが鳴り、比嘉が次打のパットを打つことなく順延が決まった。しかし、約20分の1度目の中断がなければ、比嘉の組が17番をプレーしていたかもしれない。一夜明けて現場を訪れてみると、その木があったであろう周りにロープが張られていたものの、生えていたのが嘘のように緑色の目土が巻かれて真っ平らな状態になっていた。木が倒れていた17番ティの先だけが、大きな爪でえぐられたように芝がはげていたが、そこにも緑色の目土がされており、このアクシデントを知らなければ気にもとめないくらい。この日は第2ラウンドの残りが行われ、15番グリーンから、16、17、18番とプレーした比嘉も「何もなかったようにきれいになっていた。新しい木が生えているんじゃないかと。さすがだなと思いました」と、オーガスタ・ナショナルGCの対応に目を丸くする。2日目の順延が決まったのは、その撤去作業の影響があったのかもしれない。(文・下村耕平)

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