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比嘉一貴は21年覇者の松山英樹とアウト9ホールをチェック「なんて贅沢な時間」

<マスターズ 事前情報◇4日◇オーガスタ・ナショナルGC(米ジョージア州)◇7545ヤード・パー72>比嘉一貴にとって松山英樹と過ごす米ツアーは今週が3週目となる。2週間前の「WGC-デル・テクノロジーズ・マッチプレー」ではウェイティング2番手で出場には届かなかったが、前週の「バレロ・テキサス・オープン」にはともに参戦。そして今週は、2021年に松山が優勝した「マスターズ」に初めて出場する。

小さな巨人 比嘉一貴のドライバースイングをコマ送りで見る

月曜日はアウト9ホールを1人で回ったが、火曜日は頼りになる東北福祉大の先輩が隣にいた。アウト9ホールを松山と一緒に回って攻略法を伝習してもらい、松山が抜けたイン9ホールは1人でコースチェックを行った。「スタートホールから時間をかけてアドバイスしてもらいました。試合で切ってくるピンに対して松山さんは詳しいので、即実戦に生きるようなマネジメント面とか、たくさん聞けたのでいい時間を過ごせました」月曜日は入念にグリーンの傾斜やグリーン周りをチェックしたが、「足りないです」と感じていた比嘉。しかし同じアウトコースでも松山が試合になったときのグリーンの硬さや速さを想定し、外していいところやダメなところを親切にアドバイス。加えて、バンカー内でも多くの時間を使い、「僕は松山さんがどうやってバンカーを打つのかを見たくて、見に行ったら教えてくれる。時間をかけたつもりはないんですけど、僕からしたら一瞬の時間だった」と濃密な時間を過ごした。しかも21年覇者は、試合になったときのコンディションやピン位置といった比嘉がほしい情報を「聞く隙もない」ほど先回りして教えてくれる。「なんて贅沢な時間を過ごしたんだろう」と比嘉は感謝する。3週間に渡る米滞在で松山のすごさを再認識させられた。「首は少しは良くなっていると思うんですけど、不安がゼロではないと思います。自分が思いっきりできない状況でもベストなパフォーマンスを毎回できる対応力、自分に何ができるかをしっかりわかっている分析力が抜群にすごいなと思います」と感じている。この日は予選ラウンドの組み合わせが発表され、比嘉は17年大会覇者のセルヒオ・ガルシア(スペイン)、米ツアー1勝のキース・ミッチェル(米国)と同組となった。囲み取材でそれを知らされると、「ガルシアと? 緊張してきましたね(笑)。でもすごい楽しみです」と驚きと興奮を隠しきれない。17年大会のガルシアとジャスティン・ローズ(イングランド)の優勝争いはテレビで観戦していた。「ガルシアのパッティングが画面越しに震えているのが見えて、僕では考えられないくらいの重圧のなかでやっていたと思います。ゴルフをやっていたら誰でも知っている選手と回れるのはやっぱり誰でも楽しみ。見て学べたらいいなと思います」と話す。水曜日はマスターズ恒例の「パー3コンテスト」が行われる。比嘉はもともとエントリーしていたが「ものすごい悩みましたけど、やっぱり準備が足りない。試合を第一に考えて、練習ラウンドを選びました」と断念。今大会で12位以内に入れば、来年のマスターズ出場権を獲得できることから、「今週頑張ってまたチャンスがつかめれば、もちろん次はパー3コンテストに参加したい」と楽しみの1つは持ち越しとなった。開幕前日は再び松山とインの9ホールをチェックする予定。一人で回った自分のイメージと、チャンピオンの攻略法をすり合わせて初日に備える。憧れていたマスターズも、尊敬する松山との時間も2日間で終わらせるつもりはない。(文・下村耕平)

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