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比嘉一貴が片山晋呉から習ったオーガスタ対策は「ボール1ロールの距離感」

<マスターズ 事前情報◇3日◇オーガスタ・ナショナルGC(米ジョージア州)◇7545ヤード・パー72>日曜日の夜にテキサスからのチャーター便で、オーガスタ入りした比嘉一貴。月曜日は12時05分から、1人でアウトコースの9ホールを回った。初めてオーガスタに足を踏み入れ、実際にプレーしてみた感想は「テレビより難しいですね(笑)」だった。

アドバイス?松山英樹と話す比嘉一貴【大会写真】

事前に「マスターズ」を映像でチェックしたという比嘉。それでも「テレビだとグリーンも大きく見えるし、みんな簡単そうにやるから。距離は長いし、グリーンは小さいんですけど、傾斜が大きくあって打つところは本当に狭い。ワンショットですぐにボギー、ダボってなってしまうので、非常に神経を使って打たないといけない」と、映像と実際のコースにギャップを感じたようだ。きょうはグリーン上やグリーン周りを入念にチェックしたが、「足りないですね」とやりたいことをすべてできたわけではない。あすの火曜日は東北福祉大の先輩、松山英樹と練習ラウンドを行う予定で、「そこでじっくりできたらいいなと思います」と、21年覇者のプレーを間近で見て、攻略法を吸収しようと考えている。比嘉は前週の「バレロ・テキサス・オープン」では予選落ちに終わり、早くオーガスタに入ることもできたが、あえてしなかった。松山に「早く入って練習するのもいいけど、回りすぎたら疲れるよ」と言われたからだ。さらに「フェアウェイはもっと短く刈られて、グリーンはもう少し硬く、木曜日からガラッと変わるから、練習ラウンドでこれがマスターズって備えないほうがいい」とも。練習ラウンドのセッティングに“慣れすぎない”ことが狙いだ。しかし、この話には決勝ラウンドに進出した松山と、先週の会場の練習場で会うと「まだいるの?」と言われるオチもついている。その松山からは「左足下がりから打ち上げで170ヤード前後のショットが求められるから、練習したほうがいい」と技術的なアドバイスももらった。そんな初めてのマスターズに出場する比嘉に、2009年大会で4位に入った片山晋呉もオーガスタ対策を伝授している。片山自身は「オーガスタではこんなことをしなきゃいけないの?っていう練習が3つくらいある。日本では使うところがないからやってない。行ってから戸惑わないために教えました。ショートゲーム全般の練習法です」と2月に話しており、具体的な練習法は明かさなかった。「片山さんには1月に教えてもらって3カ月間練習しました。他のマスターズに出た選手に『これが必要?』と聞くと、『いらない』って言われたりもしました(笑)。でも僕は大事だと思ってやりました」と比嘉は話す。3つのうちの1つは「バンカーの60センチショット」。しっかり振ってバンカーから出さないように60センチ先に打つ。「けっこうそれができなかったんです。60センチ先を狙っても10ヤードくらい飛んでしまったりする。それはけっこうできるようになりました」と話す。2つ目は「2、3ヤードのアプローチ」。ただ2ヤード飛ばすのではなく、ランニングアプローチ、ピッチ&ラン、スピンの利いたピッチショットを打ち分ける。「コントロールが求められる」という。3つ目は「ボール1ロールの距離感」。直径42.67ミリのボールが一回転すると約134ミリ。スマホの縦幅にも満たない距離をパターで転がす練習をするのだ。実際、比嘉はオーガスタのパッティンググリーンで10センチを転がす練習を行っていた。「ボール一回転でどのくらい進むかを考えたこともなかったし、それくらい繊細。きょうのスピードだったらいらないけど、本番にはスピードも上がるし、ピンポジションもそういうところに切ってくるから、必要になってくるんだろうなって思います」片山の教えを信じて、バンカー、アプローチ、パッティングで最小ともいえる距離感を身につけてオーガスタに乗り込んできた比嘉。「いきなりその状況になったときに、ビビらずに何とか対応できると思います」。開幕まであと2日。松山の助言でチャンスを作り、片山から授かった技術でピンチをしのいで、オーガスタを戦う。(文・下村耕平)

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