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「現状維持では押し出される」 菊地絵理香が超苦手コースで見せる“34歳の成長”

<JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 3日目◇26日◇宮崎カントリークラブ(宮崎県)◇6487ヤード・パー72>

これが10回目の最終戦出場。「本当に毎年ダメダメで終わっている。まったく成長がない。そうふと考えた時に悔しいなと思って」。大の苦手と話すコースだが、今年の菊地絵理香は違う。3日目を終えて首位と1打差。トータル12アンダー・3位で最終日を迎える。

昨年はトータル12オーバーで、出場40人中36位に沈んだ。それだけではない。それ以前にさかのぼっても、アンダーパーで4日間を終えた年すらなく、最高成績も2018年の15位というのだから、確かに「苦手」だ。ティは「私にとって全ホール、どこを向いても立ちづらい」。コーライ芝のグリーンは「いろいろな方向から目が来ていて、強い。それを考え過ぎて分からなくなる」。結果、何もできずに終わる。そんな9年間だった。

今年7月の「大東建託・いい部屋ネットレディス」で勝ち、最終戦の出場権を手にした時から、“打倒・宮崎CC”への意識を強めた。「ほかの試合も大事だけど、ここ(宮崎CC)を攻略したい」。その思いが今年、随所に見てとれる。

「ビトウィーン(番手間)の距離が多い」ということで、使い慣れた5番ウッドを抜き、この大会のために飛距離185ヤードの7番ウッドを投入したのも、そのひとつ。「あまり好きじゃない」というクラブセッティングの変更に着手した。考え過ぎてしまうグリーンでは、最初のフィーリングを大事にするため「しゃがんで(ラインを)読んでない」ということも実践する。「難しいコースだけど、それをさらに難しく難しく考えてきた。いかに簡単にラウンドすることができるか」。ここを突き詰めてきた。

これまで5つの勝利を積み上げてきたが、メジャー制覇はない。15年の「日本女子オープン」2位など優勝を争ったことはあるが、「あと一歩、二歩で獲れなかったことが何度もあった」というのはやはり心残りだ。「ここ数年は惜しくもなくメジャーが終わっていた。諦めようかな、という思いもあったけど、しっかり頑張りたい気持ちも出てきた」。悲願達成への強い思いもキャリアを続けるうえでの支えになる。

それだけに、この位置で最終日を迎えられることは「成長」を実感するできごとだ。今季開幕前にはスイング改造にも着手。しかし、途中で元のイメージに戻すなど、試行錯誤を重ねた一年間だった。「今の若い選手はすごく細かいことにも取り組んでいる。『現状維持でいいかな』と思ったら、押し出されてしまうと思っている。失敗につながるかもしれないけど、怖がらずに挑戦することが大事。ダメならまた一からやればいい」。これが34歳が成長を求め続ける理由だ。

そしてなにより一番の成長を感じられるのは、この大会を制すること。3日目には15番パー4で、ラフからの2打目がバンカーで目玉になり、アンプレヤブルを宣言してダブルボギーも叩いた。「ここでかー」と気落ちもしたが、「あのバンカーには過去2回刺さったことがある。でも、チャンスにつけられると思って攻めた結果。怒っても仕方ないと切り替えられた」と前を向いた。すると16、17番でこれを帳消しにする連続バーディが生まれた。

「一年間戦うなかで、このコースで悔しさを残している。課題を残してくれるコースでもあるし、それでオフに頑張れるけど、まったく攻略できてなかった。このコースで勝ちたい」。今季も残り一日。その締めくくりを、恒例のフラワーシャワーの中心で迎えたい。

【菊地絵理香 過去のリコーカップ成績】

2021年 36位(+12)

2020年 20位T(+4)

2019年 19位T(+2)

2018年 15位(0)

2017年 22位T(+3)

2016年 23位T(+6)

2015年 23位T(+10)

2014年 18位T(+3)

2013年 19位T(+10)

<ゴルフ情報ALBA.Net>