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11年ぶり優勝を挙げた2人の共通点 亡きキャディに捧げる強い思い

<大王製紙エリエールレディス 最終日◇20日◇エリエールゴルフクラブ松山(愛媛県)◇6575ヤード・パー71>

金田久美子の史上最長の“ブランク”優勝から3週間、今度は愛媛で藤田さいきが優勝し、2人目の11年ぶりの優勝者が誕生した。「久美ちゃんの優勝は泣いてみていました。私も頑張ろうと励みになりました」と金田の優勝が刺激となったことは間違いないが、この二人にはある共通点があった。

今年4月のフジサンケイレディスで、藤田さいきのキャディを務めたピヨさん【写真】

それは10月に亡くなった「ピヨさん」の愛称で親しまれたプロキャディの橋本道七三(みちひさ)さんに担いでもらった経験があることだ。金田はジュニア時代から担いでもらっており、11年前に「フジサンケイレディス」で初優勝をしたときにも隣にいてくれたのが橋本さんだった。

「もう一度担いでもらいたかったなという気持ちは正直あります。とにかく前向きな人だったので“大丈夫だよ”とずっと言ってくれましたね」

一方の藤田は今年もタッグを組んでおり、本来であれば後半戦はほとんどキャディをしてもらう予定で、この試合も本来ならピヨさんが担ぐはずだった。病気のことは知っていたが、本人の意思を尊重して黙っていた。だからこそ、より思いは強くなった。

もう隣にはいなかったが、橋本さんを思い出す場面があった。3日目の17番、池に入りそうなショットが入らずに止まってくれた。「見守ってくれているのかな」。思わず顔が頭に浮かんだ。

一緒に達成することはできなかったけど、カップを持っている姿を届けたかった。「4月のフジサンケイでもホールインワンを一緒に達成してこれからっていうときに、そういうことがあった。どうしても彼のためにも優勝したいと思っていたので、それを見せることができてよかった」。優勝スピーチでそう言うと感極まった。

金田の優勝は11年189日ぶりで史上最長、そして藤田は11年35日ぶりで金田に次ぐ二番目。ブランクは空けば空くほど難しくなるもの。そんな二人の背中を押したピヨさんも、きっと今ごろうれし泣きをしているに違いない。(文・秋田義和)

<ゴルフ情報ALBA.Net>