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しそうでしない?やらなそうでする? 上田桃子のガッツポーズのナゼ

<大王製紙エリエールレディス 3日目◇19日◇エリエールゴルフクラブ松山(愛媛県)◇6575ヤード・パー71>

この日最初のバーディを奪った2番ホールで上田桃子は力強くこぶしを2度握った。きょうは気合いが入っている。そう見ていると、次の3番では連続バーディとしたにもかかわらずギャラリーに手を挙げただけ。あれ?同じバーディなのになぜガッツポーズをしなかったのだろう。

上田桃子が「めん棒」で作る究極のストレートスピンアプローチ【写真】

バーディパットの距離で言えば2番は3メートル、3番は6メートルと3番のほうが長いし、3番はパー3でグリーンの手前に池があり、きょうのピンはグリーンが狭い右サイド。キャディと相談して一度アドレスに入った後、もう一度ほどいて再度念入りに確認してセーフティ気味に左手前に乗せた。その動きは「パーでいい」と判断したように見えた。そんなホールのバーディだ。うれしくないはずはない。

というわけで、本人に直接聞いてみた。

「2番は読みが難しくて、切れるか切れないかわからなくて、浅めにしっかりいこうと思っていました。今週ずっとそういう練習していて“これは決めたいな”と思うパットをずっと外していたんです。その練習していたやつがそのまんま出来て入ってくれたので、よし!という感じでしました」

実は優勝争いで敗れ3位に終わった前週の「伊藤園レディス」にガッツポーズの伏線があった。年間女王となった山下美夢有と首位で並んで迎えた16番でダブルボギーを叩いてしまったのだが、次の17番パー3でティショットを1.5メートルにつける。「まだ、あきらめない。食らいついていく」。気合いを込めたバーディパットだったが、これを外してしまって万事休すとなった。そのため、今週はショートパットを課題として取り組んだ。その成果が出たことを喜んだというワケだ。

ちなみに今週はほかにも「ここで?」と思う場面でこぶしを握った。大会初日の出だしの10番ホールでは1.5メートル。まだ始まったばかりの状況で、沈めた上田は噛みしめるようにガッツポーズをした。これも同じ理由。

「ちょうどの距離だったんです。練習と同じ距離だった。先週の17番のパットがちょっとだけスライスというラインで、うわっ同じだ!と試されていると思って、入ってくれたので今週は行ける!と思っていました」

先週出た課題をすぐに克服できた。取り組んできた成果を出せた。入ったことだけでない喜びがあったからこそ、勝負どころやウイニングパットでもない1打に感情を表現したのだ。

首位とは差が離れてしまったが、トータル8アンダーの9位タイと今週も上位の見える位置で迎える最終日。何度ガッツポーズを見せてくれるのか。そんなところにも注目して見てみたい。(文・秋田義和)

<ゴルフ情報ALBA.Net>