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いつもの流れなら爆発力のある2人が今季初優勝! シード争いの注目は2人のプラチナ【大西翔太の大展望】

残り2試合となった国内女子ツアーの舞台は3月以来の四国へ。今週は最終戦、シード争いをかけた「大王製紙エリエールレディス」が行われる。様々な思いが交錯する戦いを制するのは誰なのか。青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める大西翔太氏が展望を語る。

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■求められる爆発力

舞台となるエリエールゴルフクラブ松山といえば名物はバーディ合戦。5番ホールがパー5からパー4となる前にはテレサ・ルー(台湾)が72ホールの最少ストロークとなるトータル24アンダーをマーク。パー71となった今でもそれは変わらないと大西氏。

「ラフも短いですし、グリーンもまだやわらかめですがすごく奇麗でいい転がりをしてくれるでしょう。つまりいかにバーディを獲るかどころか爆発できることが大事。1日、いや2日は65や66といったスコアを出さないと優勝には届かないでしょう」

■今季初優勝へもがく2人に大きな期待

様々なものがかかる最終戦だが、過去の優勝者を見ると何かを背負っていない選手が多い。統合シーズンでシードが関係なかった2020年大会を除く直近の10試合を見てみると、賞金女王の可能性を残していた選手は3人(15年ボミはすでに女王戴冠済)、シード争いをしていた選手の優勝はゼロ。それ以外はすでにシードを決めているけど、女王の可能性もないという選手だった。

「気持ちを切らしていないことが大事なんです」と大西氏はいう。「前週も言いましたが、オフが目前と迫り気持ちがたるみやすい時期。そのなかでも勝つためにもがいている選手しか勝つことはありません」。だからこそ、と挙げるのが今年はまだ優勝のない賞金ランキング7位の吉田優利。

「8月からずっと調子がいいのに、今年は勝利にあと一歩届いていません。でも、コーチの辻村さんと一緒に勝つために何が足らないか毎週試行錯誤してもがいているように見えます。練習に対する真剣さも今でもすごい。そしてパッティングが良く、爆発力もある。試合が残り少なくなっていくことに危機感、寂しさ、悔しさを一番感じているといっていい選手。ブレーキを踏まずに突っ走ってほしいですね」

もう一人挙げたのが菅沼菜々。いまだツアー未勝利ながら賞金ランキングは9位と上位につけている。

「菅沼さんはパーオンホールの平均パット数が2位、1ラウンドあたりでは4位とツアー屈指のパター巧者で爆発力もある。最終ラウンドの平均ストロークにいたっては1位ですからね。特に4日目に強い印象があります。もちろん、初優勝を目指しており気持ちは切れていません。そして今週のキャディは百戦錬磨の森本真祐さん。最高の相棒とともに気合いが入っていると思いますよ」

■シード争いの注目は2人のプラチナ

シード争いの選手で期待を寄せたのは上野菜々子。現在メルセデス・ランキング53位で初シード(50位以内)は目前に迫っている。

「最近すごくいいゴルフをしていますし、当然気合いは入っていると思いますが、そのなかで山口すず夏さんをキャディに起用したり、レギュラー初出場の渋野暉璃子さんと練習ラウンドをしたりと楽しみながら臨んでいるように見えます。ここはアマチュア時代に優勝争いに加わっていて、イメージも悪くないと思うのですごく楽しみですね」

もう一人、メルセデス・ランキング54位から初シードを狙う安田祐香にも注目する。「秋からどんどんゴルフが良くなっているように見えます。それに合わせて順位もちゃんと上がってきていて、いい状態で今大会に入れていると思います。安田さんらしさが出てきている。表情もいいですよね」と期待を寄せた。

解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。

<ゴルフ情報ALBA.Net>