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“負けず嫌い”が生んだルーキー連勝 尾関彩美悠は同期に先越され「悔しかった」

<住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 最終日◇18日◇新南愛知カントリークラブ美浜コース(愛知県)◇6502ヤード・パー72>

またしても、昨年11月のプロテストに合格したばかりの19歳ルーキーが躍動した。尾関彩美悠(あみゆ)が5バーディ・3ボギーの「70」でプレーして逃げ切り。トータル13アンダーで初優勝を遂げた。

「同級生の子たちが次々に優勝していっていたので、早くしたいと思って臨んだ今週でした」。先週の女子プロゴルファーNo.1を決めるメジャー大会では、同い年でプロテスト同期の川崎春花が優勝。記録ずくめの大快挙だった。

同じく出場した尾関も、予選を突破したが、結果は29位タイ。「悔しかった」。今大会中何度も口にしたこの言葉。同じフィールドに立てているのにも関わらず、自分は同期が優勝しているのを見上げているだけ。こんな気持ちがひしひしと伝わってくる。

そして次は自分の番。そういわんばかりに、2日目にはプロ初となるイーグルを奪取するなど伸ばして単独トップに立つと、自身2度目の最終日最終組入りを果たした。

だが、吉田優利に首位タイに並ばれて迎えた後半10番ではいきなり3パット、11番では1メートルが入らずの連続ボギー。3打差をつけられ、一気に後退した。「差よりも自分のボギーに腹がたって(笑)。そこで吹っ切って残りのホールはできる限りのプレーをしようと頑張りました」。ここでスイッチが入る。

12番でバウンスバックを決めると、15番でも2メートルを決めて首位タイに。16番パー3では先に12メートルを決めてバーディとした吉田についていくかのように6メートルを決め、最終18番ではパーパットを残していた吉田より先に、1メートルのウイニングパットを沈めた。

「ほんとうに、うれしいです。ふふふ」。先週は“はんなり京女”が制したが、尾関もおっとりほんわか。どちらもあどけなさが残る19歳だが、その穏やかな口調とは裏腹に、尾関はかなりの“負けず嫌い”だ。

初めて最終日最終組入りを果たした6月の「宮里藍 サントリーレディス」ではスコアを落として8位タイでフィニッシュ。『同期のなかで一番最初に(レギュラーツアーで)優勝したい?』という質問に対して、「それは一番思います」と言葉を強めていた。そんななかでの川崎の優勝。この“一番になりたい”という強い思いと、悔しさが、尾関を発奮させた。

「この3日間を戦い抜いたと、自分に自信になります」。また新たなヒロインが誕生した。そしてひとこと。「来週からも切り替えて頑張りたいと思います」。負けず嫌いのルーキーは、すでに次。勝利にどん欲だ。(文・笠井あかり)

<ゴルフ情報ALBA.Net>