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“世界レベル”へリミットはあと2年 吉田優利のトレーニングに対する類まれな計画力&実行力

<資生堂レディスオープン 初日◇30日◇戸塚カントリー倶楽部(神奈川県)◇6570ヤード・パー72>

今季前半戦を終えて、トップ10入りが5回と安定した成績を残している吉田優利。「今年から朝のトレーニングをルーティン化して、よりゴルフにどうつなげられるかを考えるようになりました」と昨年からの変化を明かした。

かねての計画通り、実践を繰り返しながら理想の体作りへまい進している。2020年のプロ入り当初から、コーチとトレーナーとの三位一体をまずは作った。「3人いれば食い違うこともあると思うので、そのなかでしっかり自分の意見を伝えられるのが良いのかなと思います」。体づくりと技術向上はもちろんだが、“チーム”の関係性を非常に大事にした。この辺りから並のルーキーではない。

そこから順序立てて取り組んできた。まずは練習量を増やしても耐えられる体を作ること。元々効率よく練習メニューを組むタイプだが、連戦が続くなかでも自分をしっかりと磨けるように、練習量を考えながら1年かけて取り組み、「体力的に問題がなくなった」と21年には次の段階に移行した。

吉田の体作りの特徴として挙げられるのが、自分の体を“実験台”として様々な取り組みを行うこと。体を絞ったり、食事制限をしてみたり。暑いなかでどうするのが一番自分のゴルフにつながるのか。まさに身をもって体験した。

もちろん成功ばかりではない。体を絞った結果、スイングに違和感が生じた。「体の状態は良いんですけど、アドレスした瞬間に体が軽いというか。体はきちんと締まっているはずなのに、足に伝わる体重というか、重みが足りない」。飛距離などの数字には大きく表れないが、やはり重心が低いほうが打ちやすい。これも試さなければ分からなかったことだ。

そして、今まで実施して良かったものを選択し、今年からは毎朝行うトレーニングをルーティン化。「自分の良いところ、悪いところを見られるようになって、体は安定した。そのなかで、どういうふうにスイングにつなげていくかを考えられるようになった」と、いよいよゴルフとの完全な融合への段階と入ってきた。それに伴い、半々だったトレーニングとゴルフの練習の割合もトレーニングが3割、ゴルフが7割と比重も変わってきた。

だが、「今の体でも満足はしてない」とこれで良しする吉田ではない。もちろん次のステップも考えている。それが“2カ年計画”だ。「女性の場合だと体の成長は24歳までというのが基準になっている。細胞レベルというか、体を大きくするためには22歳の自分にはあと2年しかない。あと2年必死で頑張って、フィジカル面を世界クラスに持っていけるようにしたい」。海外を目指す上では、現状維持ではいられない。

しかしながら、入念に計画して実行、そして結果として出すことができるのは、ゴルフの技術とはまた違う吉田の強さだろう。アマチュア時代から「将来は米国ツアーでプレーしたい」と語っていた夢の舞台へ。ここまでもこれからも、明確な道筋を描いていく。(文・秋田義和)

<ゴルフ情報ALBA.Net>