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「計測ホールだったので思い切り振ってしまった」 西郷真央はダボフィニッシュも逃げ切りV

<ヤマハレディースオープン葛城 最終日◇3日◇葛城ゴルフ倶楽部 山名コース(静岡県)◇6590ヤード・パー72>

前夜から冷たい雨が降り続いていた。かっぱを着込んでの雨中のゴルフは、捻転する体の動きを微妙に制限する。2位に5打差の首位スタートだった西郷真央は、ショットのたびにかっぱの上着を脱いで対処していたが、それでも2番パー4で今大会4つめのボギーを叩いた。すぐさま3番パー5でバーディを奪いスコアを戻したが、この日は出入りの激しいゴルフが続いた。終わってみれば、2位に1打差の辛勝だった。

後続も雨風の難しいコンディションにスコアを伸ばしきれず。西郷は3日目までの貯金を生かして、初日から首位を守り続けての完全勝利。2週連続優勝、今シーズン5戦3勝。優勝を逃した2試合も2位タイと10位タイ。今大会は苦しんだが、シーズンを通して圧倒的な強さだ。

「もっとボギーになりそうなところがあったのですが、そこをパーセーブできたのが優勝につながりました。悪天候のなかのプレーで、ミスの傾向が分かったところもあり、もっと自己分析の必要を感じました」と、西郷は冷静に振り返った。

慎重に打ち続けたショットが大きく乱れることはほとんどなかったのだが、西郷はこの日、3バーディ・5ボギーに1ダブルボギーで4つスコアを落とし、4日間トータル8アンダーでフィニッシュ。最後の上がり3ホールは、パー・ボギー・ダブルボギー。さすがの西郷も、苦笑いのフィニッシュだった。

18番のダブルボギーは「ドライビングディスタンスの計測ホールだったので、意識して振ってしまいました。思い切り振ったので、雨でボールが滑ってOBになってしまいました」という。

なぜ計測ホールでこだわってしまったのか。それは「ジャンボさんに“おまえ、ディスタンス(飛距離)ないな”といわれるので、『いい報告をしたいな』と意識してしまいました。あまりよくない方向だなと思っています」と反省の色を見せた。ちなみに、西郷の平均ドライバー飛距離は240.09ヤードで13位(今大会終了時点)だ。

この勝利で世界ランキング75位内という「全米女子オープン」の出場資格を得るのはほぼ確実となった。「シーズン前から海外メジャーは行きたいと、ジャンボさんに報告しています。出場資格が取れたら行きます」と即答し、「恵まれた環境で練習させていただいています。これからも感謝の気持ちを忘れず、謙虚な姿勢で頑張っていきます」と締めた。

女子ツアーで最多年間勝利を挙げたのは、2003年に24試合出場して10勝を遂げた不動裕理だが、不動のその記録を西郷は上回るのではないか。精度の高いショットと自らを冷静に振り返る姿勢を見ていると、そう思えてならない。(文・河合昌浩)

<ゴルフ情報ALBA.Net>