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300万円→1800万円に! 山下美夢有が大会新&史上2番目タイの低身長V

<KKT杯バンテリンレディス 最終日◇18日◇熊本空港カントリークラブ(熊本県)◇6501ヤード・パー72>

歴代大会でも屈指の伸ばしあいとなった今年の「KKT杯バンテリンレディス」。天候は晴れたが気温は上がらず、5.7メートルの強い風が吹く戦いを制したのは19歳の山下美夢有だった。

まさに独壇場だった。首位と2打差の4位タイからスタートした山下は、出だしの2番でフェアウェイバンカーからピン横4メートルにつけてバーディを奪うなど、前半だけで4バーディを獲った。一気に首位に立つと後半も10番ボギーの後、11番から連続バーディ。15番でも1つ伸ばし、当時アマチュアの勝みなみが記録した11アンダーを上回るトーナメントレコードの14アンダーで、2位に5打差をつける圧巻の勝ちっぷりを見せた。

プロ入り直後から得意と語っていた100ヤード以内のショットが冴えた。この日は4つあるパー5のうち3つで100ヤード前後の3打目をつけてバーディ。最終ホールも2メートルのチャンスに付けていた。この特異距離は、昨年の8月に300万円のトラックマンを購入してさらに磨いてきた。

「ハーフショットで低めの風の影響を受けない球を打とうかなと思ってやっています。使ってからだいぶ縦の距離も合うようになってきた。今は5ヤードの打ち分けはできる」。目標は3ヤード刻みとまだまだ先だが、人生で一番高かった300万円の買い物は、優勝賞金1800万円へと化けた。

150センチの選手の優勝は馬場ゆかり(149センチ)に次ぐ史上2番目タイ(昨年優勝の西村優菜も150センチ)の低身長。その西村はプロテスト同期で、山下の優勝をグリーン脇で見守り、ハグで喜びを分かち合った。頑張って牛乳やプロテインを飲んでいたという西村とは対照的に、山下は小柄であることを意に介してなく、「飛距離を伸ばすことだったり、やらなければならないことがあると、身長を考える余裕はないですね」とさらりと言う。

そんな小さな体で、両腕を目一杯伸ばして万歳した山下。「シード獲得と優勝が今シーズンの目標でした。それが達成できてうれしいです。また、目標を立てて頑張りたいと思います」。そう言って、はた目からは大きめに見えるグリーンジャケットの襟を正した。(文・秋田義和)

<ゴルフ情報ALBA.Net>