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松山英樹のスイング変化 「トップが低くなってフェードコントロールが上手くいった」【タニタクに聞く】

これまで33人の日本人が出場して、32人が跳ね返されてきたマスターズ。松山英樹はなぜ勝つことができたのか。日本に帰ってきたときには食事やゴルフに行く仲だという東北福祉大学の先輩、タニタクこと谷口拓也に松山のすごさについて語ってもらった。

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ヒデキはすごい快挙を成し遂げました。失礼な話かもしれませんが、現状でマスターズを獲れる日本人はヒデキしかいない。彼も言っていましたが、今後ほかの日本人にもチャンスが出てきたと思います。ヒデキ以外の日本人が次に勝つのは四半世紀か、もしかすると半世紀くらい先になるかもしれないですけどね。1934年に始まったマスターズの長い歴史のなかで、アジアで最初に勝ったのが日本人で松山英樹だった。本当にすごいことです。

やっぱり何かを変えようと思っていたのか、目澤(秀憲)コーチの存在は大きいと思います。昨年、GOLF Net TVでアメリカに飛んで取材したときに「コーチの存在はどういうもの?」という話をしていたんです。本人は「潰れてもいい感じでやる」と言っていました。

つまり、今のスイングを壊してでもスイング作りをやる覚悟があったということです。「本当にいい人がいれば(コーチを)つけたい」という話もしていた。それから数カ月経って目澤さんを選んだ。今年は新たなことに取り組むのにヒデキの練習量も増えていったと思うんです。

マスターズを見ていて、トップの位置が低くなったと思いました。クラブが飛球線よりも左を向くレイドオフになっている。これまでは左腕のポジションが右肩から顔寄りにあったのが、右肩と重なるくらい左腕が低くなっています。

一般的にはトップの位置が低いほうが毎回同じ位置に上がりやすい。トップが高くて右ワキが開いていると、どこに上がるかわからないですから。低いほうが同じところに上がるし再現性は高まるんです。それにトップで止まるような“間”が少なくなったと思います。トップの位置が低くなったことで、感覚も変わってきたのかもしれないですね。

マスターズが終わってからちょっとしゃべって、(左から右に曲がる)フェードコントロールが上手くいっていたという話もしました。それまでは飛ばしたいという気持ちから、歯車が狂っていた部分はあったかもしれないです。

最終日の最終18番のティショットのフェードボールは決定的でした。フェードじゃないといい場所にボールを置けませんから。最終的にはボギーでしたけどね。3日目の15番パー5のセカンドショットもフェードで木の上から攻めていた(結果はイーグル)。自信がないと左ピンに対してフェードは打っていけない。それだけコントロールできる自信があったんでしょうね。

基本的にレイドオフのほうがフェードは打ちやすい。(セルヒオ・)ガルシアだってフェードヒッターだからレイドオフですしね。トップでシャフトがフラットか飛球線よりも右を向くクロスになるタイプがドローヒッターなので。とはいっても、試合が始まってしまえば、どうやってコースを攻めていくかでいっぱいいっぱいになる。それでも、マスターズに照準を合わせてくるヒデキの準備だったり、メジャーを勝ちたい気持ちだったり、すべてが噛み合った。僕も本当に興奮しましたよ。

<ゴルフ情報ALBA.Net>