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マスターズ11回出場の“師匠”からは『しびれてこい!』 18歳・中村心が挑む初のオーガスタ「これからの力になる」【特別インタビュー】

きょう3日(水)から、世界トップランクに位置する女子のアマチュア選手72人が集まる「オーガスタナショナル女子アマチュア」がスタートする。大会は3日間54ホールのストロークプレーで実施。3、4日の予選ラウンド(米ジョージア州、チャンピオンズリトリートGC)を勝ち抜いた上位30人は、6日に行われる決勝ラウンドで、「マスターズ」の会場として知られるオーガスタナショナルGCの芝を踏むことができる。今年は日本勢8 人が出場。そのなかのひとり、高校を卒業したばかりの中村心は高まるワクワク感を胸に、アマチュア選手の“祭典”に臨む。(取材・文/間宮輝憲、撮影協力/フェニックスシーガイアリゾート)

招待状を手にニッコリ【写真】

■初めて見る招待状に「ビックリ」「いろんなことが起こりそうですよね(笑) 」初めて戦う海外での試合をイメージすると、そう言って初々しい笑顔をのぞかせる。昨年の「日本ジュニアゴルフ選手権」を制した18歳は、現在世界アマチュアランキング21位。その実績で今回オーガスタからの招待状を受け取った。「(招待状の)実物を見たのは初めて。(他の選手の)SNSなんかで『届きました!』という投稿は見たことがあったけど、実際はこんな感じなのか〜、とか思いながら。ビックリしました」緑色が基調になった“出場権”を手にすると、やはりテンションもあがる。「楽しみですね。不安もあまりありません。初めて海外でプレーするし、トップアマが集まる大会でプレーできるのは本当に楽しみ。日本と海外ではコースも気候も全然違うと思う。そこで自分のプレーをするのも楽しみだし、いろんな国の選手と交流したい」今春ECC学園高を卒業。もともと海外志向が強く、そのため英語教育を重視し、通信制でゴルフにも集中できる環境が整う同校で3年間を過ごした。日本ゴルフ協会(JGA)が選出するアマチュア日本代表の「ナショナルチーム」の一員に今年なったが、海外での試合は「これが初めて」。ようやく思い描いてきたイメージが実現しただけでなく、記念すべき初戦は世界中のゴルファーにとって特別なコースになる。■“海外”を意識したきっかけは?オーガスタの印象は、「キレイで、入りたくても入れないコース」。結果に関わらず予選ラウンド終了翌日には、その“キレイなコース”で練習ラウンドができるが、当然ながら目指すのは真剣勝負を行うこと。予選を通過し、決勝ラウンドで濃い緑の芝を踏むことがまずは目標になる。ちなみに『マスターズの印象は?』と聞くと、「松山(英樹)選手の優勝」という答えが返ってくる。中村が本気で海外を意識したのは、2023年に茨城県のザ・ロイヤルゴルフクラブで行われたアマチュアの国際大会「ザ・ロイヤルジュニア」に出場してから。ここで個性豊かな海外選手のプレーを目の当たりにし、それまで漠然としていた思いが明確なものになった。「飛距離も違うし、プレースタイルもいろいろ。交流して仲良くなって、世界に友達ができるのってすごくいいことだと思った。世界でプレーしたいなって」。ナショナルチーム入りしたことも、その思いを加速させる要素になった。高校時代は英語で行われるオンライン授業にも熱中した。「駅とかスーパーとか毎回違う話題について先生と英語で意見をやりとりするんです。最初の文は決まっていて、あとは自分の考えを応用で文にしていきます。入学したてよりは、先生の英語も聞き取れるようになった。聞き取ることはできても、言いたいことを英語に変えるのはなかなか難しいんですけどね。喋れるようになりたい欲はすごくあります!」英語の勉強は高校を卒業しても続けるつもり。それが自分が思い描く未来に近づくためにも必要だからだ。■師匠からのアドバイスは「少しだけ」…その理由は?すでに3月27日に現地入りしているが、その直前まで宮崎で合宿を張った。JGAが指定する宮崎市のフェニックスシーガイアリゾート内で、ナショナルチーム作成のメニューに沿ってラウンド、練習の日々。その環境のよさは「この近くに住みたい」と思ったほどで、「気がついたら日が暮れている」という充実した時間を過ごすことができたようだ。「そこ(オーガスタ)に行けることが自信にもなるし、もっと頑張らないといけないという活力にもなると思う。これからの力になりそうですね。結果も残したいけど…、まずは楽しみたいです」昨年は、初受験したプロテストに失敗。1次、2次を突破したが、最終で涙をのんだ。今、「少し緊張していました。みんな伸ばしているなかで自分にプレッシャーをかけてしまって、2日目以降なかなか思いっきったゴルフができなかったです」とその原因については振り返る。もちろん、今年の最終目標もプロテスト合格。「そこに向けて、今しかできない経験をたくさんしたい」。オーガスタでのプレーもその一部になる。昨年から中嶋常幸が主宰する「トミーアカデミー」に参加。選手としてマスターズに11回出場し、現在もテレビ中継で解説を務める“師匠”からは『思いっきり“しびれてこい”。行きたくてもいけない場所。すごいことだと思っていい』という言葉がおくられた。だが、コースについては軽く聞いただけ。「実際に自分でプレーをして感じたい」という気持ちがあるからだ。日本ではシミュレーションゴルフでオーガスタを3度“回った”。「アンダーは…全然出ないですね(笑)。アーメンコーナー(オーガスタの11、12、13番の愛称)は難しい。林も圧迫感があったし、本物はさらにそれが強くなるかもしれないですね」。コースはもちろん、長時間のフライトも米国の風景もビッグサイズの食べ物も、すべてが初めての経験。「大きいハンバーガーにかぶりつきたい(笑)」と明るく話す姿は、うら若き乙女そのものだ。そのぱっちりとキラキラした瞳で、これまでにない“景色”をたくさん見て、輝く青春の1ページとしてつづってもらいたい。■中村 心(なかむら・こころ) 2005(平成17)年10月25日、山口県生まれ、18歳。姉の影響で5歳からゴルフを始める。ECC学園高3年時の23年「日本ジュニアゴルフ選手権」で優勝、同年の「日本女子オープン」も14位になりローアマに輝いた。この年には日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のプロテストを初受験するが、最終で涙をのみ、今年再び合格を目指す。24年に日本ゴルフ協会(JGA)のナショナルチーム入りを果たした。身長160センチ。ドライバーの平均飛距離は250ヤード。アマチュアランキングは日本5位、世界21位につける(3日現在)。

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