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USGAが決めているカップ位置の傾斜はMAX1.7度! 3.4度を超えるとアンフェアになる では一般営業のコースの場合は?

ゴルフ場には様々な形状のグリーンがあり、その傾斜によってゴルファーは繊細なパッティングを要求される。起伏が複雑なグリーンは見た目の美しさや、プレーの面白さを提供する一方で、その難しさが時にプレーヤーへの過度なストレスや不公平、スロープレーへの原因ともなる。現在のゴルフコース設計における優れたグリーンのデザインとはどういうものなのだろうか。ゴルフ活動家の大矢隆司さんに聞いた。

現在改修中の春日井CC東コース、バンカー工事はこんな感じで進められています

◇ ◇ ◇グリーンは戦略性だけではなく、排水や芝刈りなどのメンテナンス、プレーペースなども考慮してその形状や起伏が設計されています。近年科学的に設計されるゴルフ場は、USGAグリーンセクションが発表している”Slope for Green Speed”というチャートを参照しながら、グリーンの傾斜が科学的に決められていますが、基本的な原則としてカップの位置として推奨される傾斜は3%(1.7度)前後で、6%(3.4度)を超えると「アンフェア」とされます。例えば私たちアマチュアゴルファーが普段プレーするグリーンのスピードはスティンプメーターで8-10フィート程度の速さが一般的ですが、このグリーンスピードに適した最大傾斜は4.5%=2.6度前後で、これ以上の斜度がある場所にカップを切ってしまうとボールが止まらずにスロープレーの原因になってしまいます。またプロトーナメントでは12-13フィートのスピードが求められますが、その際にカップを切れる斜面は3%(1.7度)以下が目安になりますから、トップレベルのプレイヤーがショットする際にプレッシャーを感じるであろうエリアに、この要件を満たす傾斜をあらかじめ作っておかないと、「傾斜が強すぎてボールが止まらない」というアンフェアな環境下でのプレーを強いることになります。適切な傾斜のグリーンを作ることで、戦略性だけではなく、プレーペースや、トーナメントの視聴率にも影響を与えます。日本ではトーナメントを開催するとゴルフ場はトーナメントに合わせた改修工事や芝草管理、さらに準備や開催期間中の入場制限による売上の機会損失などで、合計で5000万円から1億円程度(試合日程やホール数などによる)の負担になると言われていますが、トーナメントが盛り上がれば、知名度やブランドの向上によって来場売上だけではなく、会員の年会費や登録料の値上げなどで、そうした投資を回収することもできます。もちろん、ゴルフトーナメントという興行はコースのデザインよりも、マーケティングなどの影響が大きいことは前提としつつも、オーガスタナショナルのようなエキサイティングな劇場型のコースが盛り上げの一助になることも事実です。現在全面改修をしている春日井CCのプロジェクトでも、プロトーナメント開催も視野に入れ、冒頭のような科学的な施工プロセスを取り入れています。観客が見ていても面白いホールロケーションが数多く作られるような設計となっています。またこうした定量的なデザイン手法は2008年ごろから広まっているため、日本では比較的少ない改修事例と言えるかもしれません。レポート/大矢隆司(ゴルフ活動家)1980年生まれ。中学卒業後15才で単身オーストラリアへゴルフ留学。ジェイソン・ディら多くのトッププロを輩出するHills Golf Academyで3年間を過ごす。帰国後大学に進学し在学中にゴルフコーチに転向。ゴルフコーチングと並行して会社経営を学ぶためにビジネススクールに通いMBA(経営学修士課程)を修了。国内外でのゴルフビジネスの起業を経て、現在はゴルフビジネスのアドバイザーやPMO、オーナー代理人としてゴルフ場やゴルフ関連企業の顧問を務める◇ ◇ ◇●さあゴルフシーズン本番! スコアに一番大事なのは、何を隠そう『パッティング』。ショットが曲がり倒しても、パッティングさえ入れば「パターは七難隠す」で大崩れはありません。関連記事【春だ!ゴルフだ!】で春のパター特訓といきましょう!

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