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2戦目でトップ10入り 稲見萌寧が発揮した“海外適応力”「1年間戦うのが楽しみ」

<LPGAドライブオン選手権 最終日◇28日◇ブレーデントンCC(フロリダ州)◇6557ヤード・パー71>「この先もいろんなコースや状況でやるのが楽しみ。この2戦でめちゃくちゃ楽しめているのが一番大きいですね」

迫力あります 稲見萌寧のミドルキック【写真】

稲見萌寧は、米ツアーデビュー戦となったフロリダでの2週間を、そんな言葉に凝縮した。異国でのゴルフ探求、そして生活。そのなかで起こった初めてのできごとの連続は、今後に向けての財産になりそうだ。ゴルフ面でいうと、最終日は“幸せ”を感じながらのラウンドになった。前日はイメージ通りに打つとパターが飛びすぎる…という現象に悩まされたが、今朝コースで、試合に帯同した橋本真和パッティングコーチから得たアドバイスが、すぐに結果につながった。アドレス時の手元の位置を、ほんのわずかに左へ調整するという対策をしてコースに出ると、1番では下りかつアゲインストの風が吹く難しい状況のなか、6メートルのバーディパットを決める。強風のなかバーディを5つ奪っただけでなく、15、16番ではナイスパーセーブでガッツポーズも飛び出した。「パッティングが思い通りにスムーズに打てるのは幸せ。(コーチが)新しいパターを持って来てくれたけど、替えるよりもアジャストした方がいいと思った。結果がともなってくれて、きょう一日、苦しまずに楽しめました」。今後も対応力が求められるだけに、これが明るい材料になる。

ショットに関しても満足気な表情を浮かべる。難コンディションのなか、最終日のパーオン数は16回。4日間のパーオン率は87.5%(63/72)と高水準だった。「アメリカはショットがうまい選手がたくさんいるけど、今週のいいショットを自分のものにして、繰り返すことができれば、ショットメーカーとしてこちらでもやっていけるかなと思えた。まだまだレベルアップできるなと」。自分の生命線となる“セカンドショット”で手応えを得られたことは、これ以上にない収穫といえる。日頃から洋楽をよく聞き、海外ドラマを楽しむなど「物心つく前から海外が好き」とも話す。この2週間は、海外の選手などと積極的にコミュニケーションをとる姿がよく見られた。最終日は「めちゃくちゃやさしくて、いろいろ聞くことができた」というシャイアン・ナイト(米国)と、「ナショナルチーム時代から一緒にプレーした」というチェ・ヘジン(韓国)とラウンドし、よく笑い合った。「海外の選手のフレンドリーさがものすごく好き。まだ英語はあまり喋れないけど、頑張って伝えようとしたり、ジェスチャーで相手も理解しようとしてくれる。分かりやすく話してくれるし、それで心が安らぎますね」。この辺りからも“海外向きの資質”は感じられる。「自分がプレーする、生活することはイメージしていなかった」という海外での2週間は、充実したものになった。ゴルフ以外でも帯同したチームでの食事や、マネージャーとプールで楽しんだ時間など、そのひとつひとつが思い出になる。これで一度日本へ帰国。次戦はアジアに渡り、シンガポールでの「HSBC女子世界選手権」(2月29日〜3月3日)、中国での「ブルーベイLPGA」(3月7〜10日)への出場を予定している。「チャレンジしないと分からないことがたくさんあった。それが苦にならず、楽しいほうにいっている。1年間戦うのがすごく楽しみです」。2戦目にしてトータル5アンダーの8位でトップ10入り。公私ともに順風満帆な船出になった。(文・間宮輝憲)

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