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米ツアー出場権獲得につながった英国の記憶 西郷真央が“どん底”から1年後につかんだ2位通過

<Qシリーズ(米国女子ツアー最終予選会) 最終日◇6日◇マグノリア・グローブGC クロッシングズC(米アラバマ州) ◇6664ヤード・パー72>ちょうど1年前、苦しみの底でもがいていた西郷真央が、トータル26アンダーの2位タイで来季の米国ツアー出場権を手にした。「周りからは早かったと思われるかもしれないけど、自分のなかではすごく長く感じた。ただ、死に物狂いでたくさん練習して、それが大事なところで結果につながりました」。ホッとしたような笑顔もこぼれる。

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5月までに5勝を挙げ、順風満帆な序盤戦を過ごしていた2022年シーズンだったが、秋ごろになるとショット面などの“異変”を訴えるように。そして最終戦の「JLPGAツアー選手権リコーカップ」はトータル35オーバーの最下位で終えるほど、それは深刻化していった。「1年前はクラブを握ってませんでしたね」。年が明け、新たなシーズンを迎えた時も、改善には至っていなかった。その時の様子を、振り返る。「まず冷静に、これをやったらうまくいくかな?とか、いろんなパターンを考えました。練習を再開して、それをひとつずつ潰していき、まだ(改善法が)見つかっていないなかであっという間にシーズンが始まった。でも海外メジャーをやるなかで、『これがいいかも』というものが見えてきた。試合をやるなかで発見があって、そのなかで成長した一年でした」今年は5試合ある海外メジャー大会にすべて出場。うち3試合で予選通過を果たしている。そのなかで、今回の結果につながったと考える試合がある。それが直前になり急きょ出場できることが決まった、8月の「AIG女子オープン」(全英)だった。初日、3日目とオーバーパーを叩きながらも最終日に「67」を出し、36位になった大会だ。「最後にスコアを伸ばせたこと、それが今につながっています。すごく大きな試合でしたね」。確かに直後に出場した国内ツアーの「CAT Ladies」でプレーオフの末に2位になると、そこから急激にトップ10入りの回数を増やしている。そして11月の「伊藤園レディス」で約1年半ぶりに勝利。続く「大王製紙エリエールレディス」でも優勝争いに加わり2位になり、この予選会を迎えていた。「最初は苦しい時期も多かったけど、こうして右肩上がりで終えることができました。すごく濃い一年だったと思います」。生半可ではない努力でつかんだ勲章ともいえる。帰国したらすぐに、その苦しい時期を支えてくれた師匠・ジャンボ尾崎のもとを訪れるつもりだ。「目標を達成することができました。また次の課題を克服して、アメリカツアーで優勝できるように頑張ります。そう報告したいですね」。2、3日ほどの休息を挟み、オフにはジャンボ邸を拠点に来季への準備を進めていく。4位の選手に5打の差をつける堂々の2位通過で、来年は「早く行きたい」と願い続けてきた米国での戦いが始まる。「日本人の先輩もいるなかで、来年から一緒に戦えるのはうれしいこと」と、ワクワクしながら“デビュー戦”を待つことになりそうだ。「あくまでスタートラインに立っただけ。あとはここから自分がどれだけ成長できるか」。冬に歯を食いしばって、来年、さらに大きな実を収穫したい。(文・間宮輝憲)

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