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5年ぶりVへ“マジ”の木下裕太 秋は気持ちも高ぶり、その理由は…

<バンテリン東海クラシック 3日目◇30日◇三好カントリー倶楽部 西コース(愛知県)◇7300ヤード・パー71>1打差の2位から出た木下裕太が「68」のラウンドでトータル11アンダーの首位タイに浮上した。今季は賞金ランキング87位とシード維持に向けて苦戦してきたが、一転してツアー2勝目のチャンス。同じ首位タイには金谷拓実、1打差の3位に星野陸也という状況に「最強の相手だけど勝ちたいと思います」と力を込めた。

あぶねー!【写真】

上位争いを続けてきた木下の感情は16番パー3で揺れ動いた。左サイドの崖に落とすと、大きくスコアを落とす可能性もある名物ホール。この日は平均スコア「3.386」で最難関だった。第1打は「狙いより4ヤードは左に行きました」と一瞬ヒヤリとしたが、結果的にはピンそば1.5メートルのバーディチャンス。「あと2ヤード左だったら(崖に)落ちてました。松山(英樹)でもあそこには狙わないでしょ。いや狙うのかな?」と苦笑いの一打だった。これを沈めて、波に乗りたいところだったが、バーディパットはまさかのショート。「あの距離からショートするってあんまり記憶にないんで悔しかったですね。でも、16番をパーで抜けられたのは大きい。へこんだけど、このパーはバーディみたいなもんだとプラスに考えるようにしました」。このポジティブシンキングが功を奏し、続く17番からの上がり2ホールは連続バーディ。先にホールアウトしていた金谷に追いついた。バッグを預ける島野隆史キャディ、そしてこの日同じ組だった蝉川泰果の串田雅実キャディは木下にとって、短期間ながら「ゴルフパートナー」市原白金通り店で一緒に働いていたかつてのバイト仲間。「チャレンジツアー(現在のAbemaツアー)に出ていた10年以上前の話です。当時のチャレンジツアーは年間10試合ぐらいしかなくて、2日間大会が多かったので、お金はないけど、時間はありました」。気心の知れたメンバーでリラックスできたことも好プレーの要因だった。初優勝の2018年「マイナビABCチャンピオンシップ」は10月末の開催。直近の2シーズンは秋以降に成績を残してシード圏内に滑り込むなど、毎年この時期から調子が上向く。「今大会もそうですけど、秋からのビッグトーナメントはQT組にとってなかなか出られない試合。自分もQT組だったんで、気持ちの高ぶりが倍ぐらい違って、出ているだけで楽しいっていうのが、今でもありますね」。試合に出られる喜びがヒリヒリするシード争いの緊張感を和らげてくれるようだ。初めて同じ組で回る金谷について聞かれると「勉強させてもらいます。マジで」ととことん謙虚だったが「星野くんもいるし、最強の相手ですけど、勝ちたいですね」という言葉ももちろん“マジ”。今年はここで勝って一気にシードを決める。(文・田中宏治)

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