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ゴルフ女子は盛り上がっている Women‘s Golf Dayのイベントにゴルフ界のこれからが見えた

ミュールにハイヒール、レインブーツにスニーカー。足下を見ただけで、街中同様さまざまな女性たちが集まったことがよくわかる。着ている服も、ワンピースや夏物ニット、Tシャツにショートパンツ。小さな子供連れママの姿もある。イベントの出演者以外でゴルフウェアを着ている人が少ないくらいのイベントは、6月3日土曜日、インドアゴルフ施設『ONE STAR ゴルフスタジオ 自由が丘店』で行われた。

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主催は一般社団法事人ゴルフライフデザイン(代表理事:木下裕介、小林忠弘)。ゴルフ会員権販売を主とする(株)住地ゴルフが中心となり『より豊かな人生を。ゴルフとともに』というビジョンで今年3月に設立した団体が『ゴルフ 美容 健康』というテーマを掲げて行った『Happy Women‘s Golf  Fes.』。 2016年に米国で制定された毎年6月第1火曜日のWomen‘s Golf Day(WGD)に伴うお祭り週間(5月30〜6月6日)に、世界中で行われた1200を超えるイベントの一つだ。WGDは日本でもJGA(日本ゴルフ協会)がゴルフの普及、振興に力を入れ始めたことで大きな広がりを見せている。 イベント当日は台風2号に伴う豪雨が残った土曜日にぶつかってしまったため、朝からの予定を繰り下げて午後から開催され、参加者は157人。220名で締めきっていた事前予約よりもかなり少ないのは、交通機関に影響が出たり、午前中まで大雨が残っていたからだろう。 オシャレな街として知られる自由が丘の、駅から徒歩で10分もかからない街中で、ビル地下の吹き抜けを取り囲むように、ぐるりと複数の会場を設置。トークイベントやレッスン、抽選会などを行うメイン会場、GOLFダーツゲームで遊んだり、レッスンを受けたりできる会場、ピラティス体験ができる会場、ゴルフウェアなどの販売会場に分かれており、予約が必要なもの以外は、自由に出入りできる方式をとっていた。 トークショーも、ウォーキング講座やトレーニングなど、ゴルフフェスと銘打っていながら“ゴルフ色“をあまり前面に押し出さない内容のもの。ロケーションも含めて、がっつりゴルファーでない人が参加しやすいようにという方向性がうかがえた。 参加者の内訳をみると、ゴルフ未経験者が8.6%、1年未満が12.2%、1〜3年未満が29.5%。ゴルフ歴3年未満の人が半分を超えており、ゴルフへの第一歩、という意味合いの濃厚なイベントとなっていた。 「ゴルフの入り口をもっと増やしたいんです。単発のイベントではなく、そこからやがてゴルフ場にまでつなげられたら」と、木下代表理事。イベントの意図と今後の展開をそう口にした。 企画担当者の雨堤祥恵さんも「女子ゴルフを盛り上げたいんです。ゴルフ業界の人でもWGDについて知らない人がたくさんいたことに驚きました。広くWGDを知ってもらって、女性ゴルファーの創出にチャレンジしてみようと思いました」と、企画の根本について語る。 実は雨堤さん自身が、コロナ禍でゴルフにハマった経験を持つ。ゴルフ歴2年で、他業界からの転身だ。だから、がっつりとゴルフにハマっているわけではない人の気持ちがよくわかる。「ゴルファーがたくさんの中に初心者が入り込むのは大変なことです。『ゴルフ女子がこんなにいるんだ』と知ってもらって、まずゴルフに触れてもらいたい。ゴルフ場でイベントをやるのではそうはいかないですから」。 がっつりゴルフをする人以外には、ゴルフ場でのイベントというだけでハードルが跳ね上がる。一般的に日本のゴルフ場は交通アクセスがよくないことが多い。服装一つとっても、ジャケット? エリ付きのシャツ? 革靴? などと、頭を悩ませることになりがちで、敷居が高い。 このハードルをグンと下げるために、自由が丘という気軽に行けるがオシャレなイメージの街で、健康や美容というテーマとコラボした。雨堤さん自身がゴルフ業界どっぷりではない分、ゴルフとの距離感が自分と同じような友人や、インフルエンサーなどの生の声を反映しながら作り上げていったからこそ、できたイベントだったのだろう。 未経験者やゴルフ歴の浅い人たちにどれだけ間口を広げられるかは、ゴルフ業界が常に考えなくてはならない大きな課題。わかっていながら“ゴルファー脳”になってしまうとそのハードルを見極められなくなりがちだ。今回のイベントで広げた間口が、この先どんな風に広がり、そこから入った人たちがどんな風に先に進んでいくのか。今後に向けて大きな意味を持つことになるだろう。(文・清流舎 小川淳子)

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