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大ギャラリーの中でのプレーこそプロ本来の姿「コロナ禍でのトーナメントを振り返る」【原田香里のゴルフ未来会議】

ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。新型コロナウイルスが感染症法上の位置づけで、インフルエンザなどと同じ5類になってから1カ月近くが経ちます。約3年間、必須のようになっていたマスクを外す方も徐々に増え、多くの人が集まるイベントなども多くなっています。

西村優菜はどこ? 溢れるギャラリー【写真】 

JLPGAツアーも、今年は人数制限がなくなったこともあり、開幕からたくさんのギャラリーに観戦していただいています。コロナが5類になってからは、感染拡大に気をつけながらではありますが、さらに自由度が高まったこともあり、毎試合、たくさんの方が生で試合を見て、JLPGAツアーを楽しんでいただいていると思います。 コロナの感染が爆発的に広がり、開幕からしばらく試合が中止になり、試合が再開されても無観客だった3年前のことを考えると、まるで夢のようです。コロナ以前は当たり前だったことの素晴らしさを、一度失って改めて気付く、ということですね。 2020年当時のことを思い返してみました。予定では例年どおり3月第1週のダイキンオーキッドレディスで開幕することになっていたのですが、その直前になって日本でコロナが猛威をふるい始めました。 あらためて確認したところ、感染拡大が広く知られるようになったきっかけでもあったクルーズ船が横浜港に戻ってきたのが2月3日のことでした。港には戻ったものの船中で感染が広がって亡くなった方が出たりしたことで、新型コロナウイルスの怖さを感じた人が多かったはずです。 下船が完了したのが3月1日だったそうですが、まさに私たちが開幕戦を行うはずの週でした。 3月5日から開催されるはずだったこの年の開幕戦は、主催者様との話し合いを何度も行い、一度は無観客開催を決定したのですが、直前になって中止になりました。すでに沖縄入りしていた選手も多かったといえば、どれだけギリギリでの決定だったかわかっていただけるでしょうか。 感染症の専門家の先生にご指示を仰ぎながら、他ツアーなどと連携した『ゴルフ関連五団体新型コロナウイルス対策会議』でガイドラインを作り、できる限り安全に試合が行えるようにしたのは、もう少し後のことです。当初は、みなさん同様「新型コロナウイルスって?」というところから始まり「試合をどうするか」という話になるのですが、てんてこ舞いだった、というのが正直なところです。 何よりも、選手や関係者の皆様の命を守ることを最優先に考え、各主催者様と話し合いを進めていく。そんな毎日でした。そんな中で、最初に試合を行うことを決断して下さったのが、アースモンダミンカップでした。対策会議顧問である炭山嘉伸先生に相談しながらあらゆる対策を立てました。 地元の自治体のご理解を得るために役場にお邪魔したときには、私たちJLPGA理事とともに大塚達也大会会長(アース製薬取締役会長)もいらして下さったことをよく覚えています。 これをきっかけに、少しずつ開催を考えてくださる主催者様が出てきて、この年は14試合ができました。予定の半分以下の試合数だったため、翌21年とのロングシーズンになることも決定。20年開催予定だった東京オリンピックの1年延期ということもありました。 そんな時期のことを考えると、たくさんのお客様の前で熱戦が繰り広げられている現在の状況は、本当に夢のようです。若い選手たちの中には、お客様のいない中で試合を行うところからプロ生活が始まったという例も少なくありません。 けれども、お客様に見ていただいてこそ、プロの試合です。自分に対する応援も、他の選手に対する喝采も、遠くで聞こえる歓声や拍手も、すべて受け入れながら自分を保ってプレーして結果を出すというプロスポーツ選手の本来の姿を、思う存分味わってほしいと思います。 理事生活最後のときがそのような状況でしたが、これからのJLPGAがスポンサー様とともに選手にとってもお客様にとっても明るいプロスポーツの世界になっていくように願っています。

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