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元外国籍を理由にしたクラブ入会拒否は違法じゃない? ゴルフにも多様性を認め合う時代は来るか?

先進国で唯一LGBTを容認する法律がないのは日本だけです。世界中から非難されて、2023年5月のG7 広島サミットまでに、どうにか法案を通そうとしていることがニュースになっています。全ての差別は許されないのは、地球規模の大きな流れで、止めることできません。

ゴルフ場のタオル、アナタの家にもありますか?

ゴルフ業界では、「元外国籍」の出自を理由に愛岐カントリークラブへの会員入会を拒否された男性が、訴えを起こしたというニュースが話題になりました。裁判では「違法なものとは認められない」との判断を示し、原告である男性の請求を棄却したということです。判決の内容はクラブ会員による自主的運営が行なわれており、「閉鎖的かつ私的な団体」であると認定。元外国籍を理由とした入会制限に「合理的な理由があるかには疑念もある」としつつ、「ゴルフは社会生活を営むに当たって必要不可欠なものとはいえない」とし、男性が被る不利益は「社会的に許容し得る限界を超えるものとまでは認められない」と結論付けたそうです。上記は一例ですが、日本に帰化した人の入会を会則で禁止しているコースは、実は、まあまあの数が存在しています。しかし、これらも差別だということで、現在は会則変更している流れもあります。欧米では、20年以上前に、差別を許さないという時代になりました。人種や性別などを入会資格に入れていることを差別だと断罪して、そういうコースでのトーナメント開催は認めないことになったのです。該当したセントアンドリュース(コースではなく団体)と、マスターズのオーガスタナショナルは、会則を変更して、それまで認めていなかった対象のメンバーを入会させて対応しました。しかし、あくまでも、プライベートコースとしての伝統を維持すること選択して、トーナメントから撤退したコースもありました。それらのコースは、現在でも、会則変更をしていないそうです。スポーツの世界では、LGBT差別と参加資格の問題が山積みで、なかなか決着しません。ゴルフという競技は、ゴルファーであれば、誰とでもプレー出来るようにできています。しかしゴルファーにも個別の「本音」と「建前」は確かに存在します。そのエリアの慣習などで発生する独特の生理的な嫌悪感などは、まさに本音の代表。建前の役割は、差別をする側も、される側も、納得できる妥協点を見つけ出して曖昧に隠すことです。差別をしないということは、嫌悪感を隠して飲み込むことで、それが建前です。しかし最低限のお付き合いをするだけで、親友や恋人には絶対になれないというのが本音で、表には出さないわけです。多数決だけではなく、少数である弱者を守るのも民主主義の素晴らしいところだと教わりました。人類も、ゴルファーも、試されているのです。多様性を認め合うゲームとして、ゴルフほど向いているものを僕は知りません。差別が霞んでしまうような、もっと残酷な仕打ちで叩きのめされても、ゴルフを嫌いになれないように、ゴルファーは、日夜鍛えられているからです。ゴルファーは、本音と建前の絶妙なバランスを常に求められています。法律に頼らない解決が得意なはずです。欧米に負けないようにゴルフ的な上手な解決例を増やしていけるか? 注目したいと思います。(取材/文・篠原嗣典)

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