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「優勝できるかできないかは時の運」 3年ぶりの復活Vに石川遼『正直、信じられない』の意味

<ダンロップフェニックス 事前情報◇16日◇フェニックスカントリークラブ(宮崎県)◇7042ヤード・パー71>

前週の「三井住友VISA太平洋マスターズ」で石川遼が約3年ぶりに優勝を遂げた。星野陸也とのプレーオフ2ホール目、4メートルのバーディパットを沈めて天を見上げた。優勝した直後は「正直、信じられない」と口にしていた。久しぶりの歓喜の余韻を残しながら宮崎入りして改めて“優勝”について振り返った。

石川遼のスイングを鳥目線で見てみよう【連続写真】

「信じられない」。その言葉は自身のゴルフの内容、試合展開を鑑みてのことだ。強い風が吹く難コンディションの最終日、首位と3打差の2位から出た石川は4番までに3つのバーディを奪って猛追。6番、8番でボギーとしたが、トータル8アンダーで蝉川泰果、星野陸也と並んで首位タイで前半を折り返した。後半に入っても14番パー4で2打目を池に落としてダブルボギーとして後退するなど、抜け出せそうで抜け出せない大混戦の中、首位タイで星野と並んで72ホールを終えた。

「優勝できるかできないかは本当に時の運。勝俣(陵)選手も岩田(寛)選手も勝つチャンスはあったし、河本(力)選手も分からなかった。みんな来そうでこなかった。ほんとに誰が勝ってもおかしくなかったと思います」

大混戦の中、最終組の前組の選手たちも伸ばせそうで伸ばせない展開。「トップタイにはいましたけど、僕が勝つ確率の方が高いかといえば、高い方ではなかったと思う。(優勝するのは)僕か(星野)リクヤのどっちかの展開ではなかった。特に14番、15番終わったあたりでは。そこが不思議でした」。石川と星野以外の誰かが突き抜けてもおかしくなかったが、結果的に二人がプレーオフの権利をつかんだ。

2ヶ月の前の「ANAオープン」は逆の感覚だった。最終日は首位の池田勇太を6打追いかけたが、前半だけで5つ伸ばし、後半も15番までに3つ伸ばして単独首位に立った。しかし、16番パー3は3パットのボギー、17番パー5はパーと伸ばせず大槻智春と並んで首位タイでホールアウト。プレーオフ1ホール目に、大槻が2打目を直接入れるスーパーショットの前に優勝を逃した。

72ホールを終えて同じ首位タイ。9月は2位で11月は優勝という結果的には大きな違いがある。「ANAの方ががっつり『チャンスはあるな』って感じでした。内容もよかったし、あっちの方が勝ってもおかしくない内容でやっていた感じはありました」。結果の違いに周囲の反応は大きく異なるが、石川の中の感触は「ANA」の方が感触はよかったと話す。

2019年の「日本プロゴルフ選手権」の時も約3年ぶりの優勝となった。ウィニングパットを沈めるとド派手なガッツポーズを見せて、涙を流しながら優勝を喜んだ。「あのときはメンタル的にも追い込まれていましたし、だからこそすごい泣いてしまった」と感情が表に出たが、今回は「これで勝っていいのか」という表現だった。

3年ぶりの優勝を遂げて宮崎入りしてもやることは変わらない。「優勝争いのバックナインでダブルボギーを打っているので手放しでは喜べない。自分は中身としては何も変わっていないで、もっと先週よりもよくできるところはあるかなと。今週もやるだけですね」と冷静に話す。

自分がベストのプレーをすれば勝てるわけではない。自分が納得できるプレーでなくても勝てることもある。優勝をつかむためには優勝争いできる位置にいることが大切であるとも感じた。「(優勝の)チャンスにこれから何回飛び込んでいけるか。今年はまだ2回だけだし、もうちょっと、まだまだがんばらないとって感じですね」。毎試合毎試合自分のやるべきことやる。そこについてくるものが結果である。(文・小高拓)

<ゴルフ情報ALBA.Net>