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シード争いも佳境! 「ゴルフが日替わりで…」44歳の武藤俊憲は歴代優勝大会で巻き返し図る

<ダンロップフェニックス 事前情報◇16日◇フェニックスカントリークラブ(宮崎県)◇7042ヤード・パー71>

国内男子ツアーはシーズンも終盤となり賞金王争いに注目が集まるが、もう一つの戦い、賞金シード争いも佳境を迎えている。2011年大会覇者の武藤俊憲は賞金ランキング80位と苦境に立たされているが、イメージのいい今大会で巻き返しを図る。

国内男子ツアーは賞金ランキング上位65位までの選手に翌年の出場権が付与される。いわゆる賞金シードである。現時点で義務試合数不足の選手を除くと、同70位までのソン・ヨンハン(韓国)までがシード圏内。ツアー通算7勝で44歳のベテラン武藤は、約140万円差で追いかける立場にいる。

2006年に初優勝を遂げて初シードを獲得した武藤は、体調不良などもあり昨シーズン、14年守った賞金シードから陥落した。今季は2019年「パナソニックオープン」の優勝の複数年シードで出場しているが、今年で最終年。賞金シードを逃せば17年ぶりに予選会(QT)行きとなる。

シード復帰に向けて開幕前はスイング改造を行った。もともとフットワークを使ったスイングで飛んで曲がらないドライバーをはじめ、ツアー屈指のショットメーカー。かつてはジャンボ尾崎も一目置くドライバーの名手だ。しかし、クラブが進化し、直進性が高くなった道具に合わせてフットワークを抑える動きに変えた。

序盤からトップ20入りの試合数を増やし、復帰に向けてまずまずの滑り出しとなったが、3試合連続予選落ちなど夏場に足踏みする時期もあった。そこで「自分のいい部分を少し入れた」と開幕時よりもフットワークを使うようにしたところ、「大きなアクションになっていないので、スイング改造は成功している」とスイングの感覚的には悪くない。

ただ、年齢による肉体や神経の変化もある。「ゴルフが日替わりで。きのうは良かったのに、きょうは同じイメージでダメ、みたいな。今まで経験したことがなくてゴルフが難しくなっています」。これまではドライバーを中心に攻撃的なスタイルでスコアを組み立てていた武藤たが、今では「ドライバーが一番難しい」とスコアを落とすミスが出ることが増えた。逆に磨きのかかったショートゲームを頼りに、耐えるゴルフが中心になってきたと話す。

「ただ、いいスコアも出るんですよ」。先週の「三井住友VISA太平洋マスターズ」では2日間「60」台で回っている。そのいい感触が長続きしない。「焦ってもしょうがないし、永遠に試合に出続けられるわけでもないし。QTに行って、また来年戻ってきて良くなっているかもしれないし。そんなに一喜一憂してもしょうがないのかなって思うこともあります」。深く考えすぎずに目の前のことに集中する構えだ。

今週の舞台のフェニックスカントリークラブは過去に優勝した大会でもあるし、オフには合宿を行う場所。「庭ですよ。コースの隅々まで知っていますから、イメージはいい」。今週は歴代覇者用にベンツの貸与も受けてコースと宿舎を往復している。イメージも気分もいい大会で、浮上のきっかけをつかみたいところだ。(文・小高拓)

<ゴルフ情報ALBA.Net>