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プレーオフ敗戦の星野陸也 石川遼のウイニングショットに脱帽「すごかった」

<三井住友VISA太平洋マスターズ 最終日◇13日◇太平洋クラブ 御殿場コース(静岡県)◇7262ヤード・パー70>

トップと3打差の2位タイでスタートした星野陸也は、前半は我慢しながらじっとチャンスを待った。9、10番の連続バーディで一気に単独首位に立ったが、最後は石川遼に追いつかれ、プレーオフ2ホール目で敗れた。

26歳の星野と31歳の石川は、星野がQTに挑戦する前の年から一緒に練習するなど親しい仲。石川のスーパーショットをこれまで何度も目撃してきている。星野が絶賛したのは、ウイニングショットとなったプレーオフ2ホール目の石川の3打目。左のラフから左足下がりのライで、残り130ヤードを48度のウェッジで打ったショットを、段を上ってすぐのピンの手前2メートル強の同じ段に乗せた。

間近で見ていたからこそ、星野には難しさがわかる。「やっぱり遼さんの3打目がすごかったです。雨の降るなか風はフォローで、ラフだとフライヤーの計算もあって、登ってすぐのピンであそこに落とすのは本当にスゲーなと思いました。さすがだなと」。悪い状況のなかで打ったショットを絶賛する。そのバーディパットを目の前で沈められて星野は敗れた。

自信のプレーで悔やんだのはやはり15番の3パット。ピン奥2.5メートルのバーディパットを1メートルオーバーさせると、返しのパーパットがカップに蹴られてボギー。このホールで星野と同じラインで、そのよりも長い4メートルを先に沈めてバーディとした石川に、トータル8アンダーで並ばれてしまった。「15番の3パットのボギーが悔やまれます。あそこはパーでも良かったのかなと思います」と振り返る。先にバーディを決められたことが、心理的にも影響した。

そして、正規の1回とプレーオフの2回で合わせて3回プレーした2オン可能な18番パー5では、1度もバーディを獲れずにパーに終わった。初日から3日目まではすべてバーディだったのにも関わらずだ。「やっぱり18番で3回ともパーだったことが悔しい要因かなと思いますね」と話す。

プレーオフの2回はどちらも2打目でグリーン左サイドのバンカーに入れた。いずれも思い通りに寄せることができずパー。プレーオフに入る前から降り出した雨によってバンカーの砂が締まったことも影響した。「どんどんペタペタになっていて、思ったよりも飛んだり、やっぱりバンカーがより難しくなったと思いましたね。天候にうまく対応できなかったです」。

敗れはしたが、2位の賞金2000万円を加算して賞金ランキング2位に浮上した。トップを独走する比嘉一貴との差は5763万円から3991万円に。残り3試合はいずれも優勝賞金が4000万円。十分に逆転の可能性を残す。比嘉との差に「まだそんなにあるのか」と驚きつつも、「残りの試合で最低1勝できたらいいですね。頑張ります」。敗戦直後にも関わらず、その声は意外と明るかった。

蝉川泰果の覚醒や、石川遼の3年ぶり復活優勝に盛り上がりを見せる男子ツアー。ツアー通算6勝の若き実力者が賞金王争いも面白くしていく。(文・下村耕平)

<ゴルフ情報ALBA.Net>