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「今までの勝利とはひと味違う」 スイングも考え方も“チェンジ”した石川遼が3年ぶりの通算18勝目

<三井住友VISA太平洋マスターズ 最終日◇13日◇太平洋クラブ 御殿場コース(静岡県)◇7262ヤード・パー70>

首位と3打差の2位タイから出た石川遼は、5バーディ・2ボギー・1ダブルボギーの「69」でラウンド。星野陸也とトータル8アンダー・首位に並んでプレーオフに突入した。2ホール目でバーディを奪って優勝。2019年の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」以来、約3年ぶりの通算18勝目を手にした。

最大瞬間風速16.5m/sを観測するなど風が強く、雨も吹きつけた最終日。石川は出だしの1番パー4で手前のエッジから10メートルをパターで沈めると、3番、4番で連続バーディを奪った。6番と8番でボギーとするも、トータル8アンダー・首位タイでハーフターン。後半では14番でダブルボギーを叩いて後退したが、15番パー4ですぐに取り返して、星野と並んで72ホールを終えた。

プレーオフ1ホール目は互いにパー。2ホール目、石川のティショットは大きく右に曲がり、林の中へ。「打てるところにあったことが本当にラッキー」とスライスボールを打って左のラフに運ぶと、3打目をピン手前4メートルに乗せた。ウイニングパットはわずかに右に曲がるライン。カップの右から沈めると「入った瞬間に真っ白になった」と天を仰ぎ、キャディと抱き合い喜びを分かち合った。

最後に優勝を挙げた2019年は、「低いフェードボールを打つしかなった」と思ったようなショットが打てない状態だった。将来を見据えて、「まぐれのないゴルフ」をするために2020年3月からスイング改造に着手。スイングの形を大幅に変更して、つかまったドローボールを打つことから始めた。スイングだけでなく、マネジメントやラウンド中の考え方も含めて、スコアメークすることに主眼を置いて総合的な“チェンジ”に取り組んでいた。

「自分がいまやるべきことをやり続けて、将来自分が強くなるために取り組んでいく。やり抜く気持ちでずっとやってきている」。今年は9月の「ANAオープン」でプレーオフまで進出したが、2打目を直接入れるスーパーショットを披露した大槻智春の前に敗戦。今回はしっかりとバーディパットを沈めて勝利を手にした。「きょうも一打一打しっかりと、打ち方だけでなく攻め方や考え方も意識しながらやれて、正直(優勝は)信じられない。いまでも信じられない気持ち」と自分のやるべきことを貫きとおした。

これで2012年以来の大会3勝目。「10年前とはツアーの顔ぶれも変わって、年下も増えてレベルも上がっている。その中で誰にも負けたくない思いがあった。いままでの優勝とはひと味違った感情はあります。やっぱり信じてやってきたので、これからももっともっとうまくなりたいという思いだけです」。残り試合も石川の好きなコースが続く。「来週に生かせることを生かして、残り3試合をがんばりたい」。スイング改造3年目にして結果を出した。新生・石川遼の時代の幕開けだ。

<ゴルフ情報ALBA.Net>