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イーグルからコーヒーをこぼして“平常心” スイング改造がハマった中西直人が「64」の首位発進

<三井住友VISA太平洋マスターズ 初日◇10日◇太平洋クラブ 御殿場コース(静岡県)◇7262ヤード・パー70>

シーズン終盤に来て“お祭り男”の中西直人が光明を見出した。今季20試合に出場して予選通過6試合にとどまっているが、この日は1イーグル・6バーディ・2ボギーの「64」のラウンド。2位に1打差の単独首位で滑り出した。3週間前からスイング改造に取り組み、いい準備をして乗り込んだ成果を発揮した。

インの10番ホールからスタートした中西は、17番までに2つ伸ばすと、18番パー5ではチップインイーグル。後半に入っても2つ伸ばしてリーダーボードの頂点で初日を終えた。「いいプレーができました」と納得の表情。心残りとして挙げたのが「コーヒーをシャツにこぼしてしまったこと」と笑って話す。

18番でイーグルを奪ったあと、マネジャーからコーヒーを受けとったが、後半の1番ティイングエリアに向かう途中にこぼしてしまった。気持ちが高ぶり、少し早歩きになっていることにそのことで気がついた。「(コーヒーを)こぼしたおかげで落ち着きました。『あっ、ゆっくり歩こう』と思いました」。歩くスピードが速くなるとプレーのリズムも速くなりがち。コーヒーをこぼしたおかげで後半も自分のリズムを保てた。「コーヒーの功名ですね(笑)」と振り返った。

大阪府・岸和田市出身の中西は、明るいキャラクターでSNSやYouTubeなどでも積極的に発信するなど、ツアーでも屈指の人気者だ。2019年に初シードを獲得し、シード選手2季目の今年は日本ゴルフツアー選手会の副会長に就任。二足のわらじを履いてシーズンを迎えた。

今年出場3試合目の「ISPS HANDA 欧州・日本、とりあえず今年は日本トーナメント!」で10位タイに入ったが、その後は8試合連続予選落ち、9戦ぶりに予選通過したと思ったら翌戦から5試合連続予選落ちを喫した。当初は「調子がいいから、よりいいものを求めて」とスイング改造を行っていたが、結果につながらなかった。ここまで賞金ランキングは96位とシード陥落のピンチ。3週ほど前から再びスイングを見直した。

予選落ちが続いているときはドライバーショットが「右にしか飛んでいかない」。次第にドライバーを振ることが怖くなっていた。「単純にスイングが悪かったんです」。スイング分析をしたところインサイド・アウトの軌道でフェースが開いて当たって、右にしか飛ばないスイングになっていた。インパクトで手元が目標方向に出るハンドファースとの度合いが強すぎた結果だ。

「今は自分のなかで超ハンドレイトの感覚。実際にはそれでちょうどいいハンドファーストです」。アドレスからずっとハンドレイトの形を保つイメージでショットが改善された。

スイングを変えた2戦前から週末もプレーできるようになった。「この2週間ほんとにいい準備ができた」。この日のギャラリーは平日にもかかわらず4170人。「励みになります。これだけの大幅なスイング改造をしてギャラリーがいなかったら寂しいですから。プロゴルファーにとって試合は発表会みたいなものなので」。人気者の中西はギャラリーを喜ばせる準備ができている。

<ゴルフ情報ALBA.Net>