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蝉川泰果のプロデビュー戦を彩ったピンクのタオル 3歳から知る“第二の母”の思い

<マイナビABCチャンピオンシップ 最終日◇6日◇ABCゴルフ倶楽部(兵庫県)◇7217ヤード・パー72>

蝉川泰果のプロデビュー戦に沸いた「マイナビABCチャンピオンシップ」。最終的な成績はトータル7アンダー・28位タイと、悔しい結果に終わったが、蝉川の地元が近いこともあって、昔から応援している大勢のファンたち会場に駆けつけた。彼らが持っていたのは、本人の似顔絵と『TAIGA SEMIKAWA』のロゴが大きくプリントされたピンクのタオル。これを作った4人のうちの1人、金橋優子さんに話を聞いた。

「泰果のお父さんとはゴルフの月例仲間で、競技が終わるといつも泰果が待っていて、3歳から知っています」。金橋さんと蝉川の父、佳明さんは同じゴルフ場の会員だった。さらに、金橋さんの旦那さんはレッスンプロで、蝉川が小学生低学年のときには、佳明さんに頼まれてラウンドレッスンを行っていたという。金橋さん自身も蝉川が小学生の頃から一緒にゴルフをする仲で、昨年末や年始にもラウンドをともにしている。プレー中は「金橋さん、見て見て!」と小学生の頃から目立ちたがり屋な一面があったのだとか。

『息子さんみたいな存在ですね』と聞くと、金橋さんはうれしそうに「第二の母って言ってくれています」という。蝉川が苦しんでいるときも、喜んでいるときも時間を共有し、その付き合いはもう18年にもなる。

そんな金橋さんは5年前の17年3月にレッスンプロの旦那さんを亡くしている。蝉川が高校1年生だった16年に初めて今大会に出場したとき、「主人が初めて泰果の試合を観て、それが最後の試合だったんです」。蝉川は合宿中で葬儀にかけつけることはできなかったが、弔電を送っている。

『先生に最後見てもらえて良かった。天に届くドライバーを打ってみせます』

「すごく思い出深い」というメッセージを金橋さんはいまでもよく覚えている。そして、「それがいま現実となってすごくうれしいです」と、蝉川の歴史を塗り替える活躍に目を細める。

蝉川が9月の「パナソニックオープン」で史上6人目のアマチュア優勝を達成する前、金橋さんを含む有志の4人で応援タオルを作ろうと企画した。「こんなに急にプロになれると思っていなくて、大急ぎで作りました」。蝉川がプロ宣言をした10月31日になんとか間に合い、ピンクのタオルを持ったファンたちが蝉川に大声援を送る光景につながる。

よく目立つピンク色は「すごくピンクが好きで、目立つっていう意味でもリクエストしました」と蝉川がリクエストしたもの。応援タオルを企画した4人のうちの1人は、商品のパッケージデザインなどを手がけるデザイナーの新口敦子さんで、いくつかデザイン候補を作り、蝉川の意見も取り入れてシンプルなデザインに決まった。蝉川の予選ラウンド2日間は石川遼と同組だったが、地元開催で旬な男というのもあり、石川のファンを上回るピンクのタオルを持ったファンがついていたのは間違いない。

「泰果が誰からも愛され、応援してもらえるプロになることを願って作成しました。これからも応援よろしくお願いします」という金橋さんの思いがつまったピンクのタオル。最初に作ったのは200枚だが、さらに増やす計画もある。いまは限られた人にだけ実費で渡しているが、その思いとともに、いずれ兵庫から全国に広がっていきそうだ。

<ゴルフ情報ALBA.Net>