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堀川未来夢の高速グリーン対策が面白い「練習日は届かせないで重い感覚にする」

<マイナビABCチャンピオンシップ 3日目◇5日◇ABCゴルフ倶楽部(兵庫県)◇7217ヤード・パー72>

昨年大会では3日目に9バーディ・ボギーフリーの「63」をマークしてトップタイに立った堀川未来夢。今年も3日目に8バーディ・ボギーフリーの「64」で、トータル12アンダーまで伸ばし、トップと1打差の2位タイに浮上してきた。

ツアーで1、2を争う高速グリーンは、初日、2日目はスティンプメーターで13フィートだったが、快晴が続いたことで、この3日目には13.5フィートとなり、「日本オープン」の最終日と並んで今年一番の速さとなった。そんなコンディションのなかで、4メートル前後のバーディパットを次々と決めた堀川の高速グリーン対策が面白い。

「ラウンド中にグリーンが速いと感じてしまうとパッティングは入らない。速いという意識があると、インパクトの緩みにつながり、ブレークポイント(曲がり始めるラインの頂点)が変わってしまうんです。だから練習ラウンドのときはとにかくテークバックを小さめにして、届かない感じで打って、『重いな、重いな』という感覚にするんです」

開幕前日のプロアマのときも、ほとんどカップはオーバーさせずに打ったことで、まず脳内で”遅い”と意識付けする。そうすることで「徐々にインパクトを強くしていって、感覚を少しずつ伸ばして今は合っている感じです」と、試合に入るとジャストタッチで打てるようになるというのだ。その結果、「きょうの前半のバーディはイメージ通りに曲がって、ひと転がり、ふた転がりで入るようになったので、すごいライン読みとタッチが良い具合に合っていた」と振り返る。

最終18番パー5のイーグルパットはピンの手前10メートルから上りのフックだったが、「わずかに切れなかった」とボールはカップの後方をのぞくようにラウンドしたが入らず。もう一度同じように打ったら、入るんじゃないかという見事なタッチをみせた。

かつては「2メートルくらいはほぼ外れる気はしなかった」と、パッティングを大得意としていた堀川だったが、一昨年からパターイップスを発症し、「手が震えて真っすぐ下りなくて、グリーン上で5番アイアンを使おうと思ったくらい」と苦しんだ。今年は「日本プロ」で優勝するなど、「最近はそういうエラーは全然出てないですね。速いグリーンは(自分で打たなくていいので)特に出ない」と、以前の感覚を取り戻しつつある。

好位置で迎える最終日については、「チャンスにいると思うので、とにかくボギーを減らしてピンチなく18ホールを回りたいですね。パッティングが入るか入らないかは時の運なので」と、好調なパットにも過度な期待はしていない。昨年大会では、終盤にバーディが獲れずに浅地洋佑に逆転されて2位。果たした今年は?(文・下村耕平)

<ゴルフ情報ALBA.Net>