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日本オープンでJGAナショナルチーム&OBが大活躍! なぜこんなに強い?【ヘッドコーチに聞く】

<日本オープン 3日目◇22日◇三甲ゴルフ倶楽部 ジャパンコース(兵庫県)◇7178ヤード・パー70>

女子ツアーでは10代の選手がすぐにプロの世界で活躍し、毎年のようにツアーの勢力図を塗り替えている。最近は男子ツアーでも、19年の金谷拓実のアマチュアVを皮切りに、昨年の中島啓太、今年の蝉川泰果(東北福祉大4年)と、アマチュアでもツアーで勝つ選手が次々と出現。急激に若返りが進んでいる。

いま挙げた3人はJGAナショナルチームに名を連ねていた(蝉川は現在も在籍)。「日本オープン」では百戦錬磨のプロたちも苦しむタフなセッティングのなか、現役のJGAナショナルチームメンバーたちが躍動している。蝉川が首位タイ、杉浦悠太が4位タイ、鈴木晃祐が36位タイ、岡田晃平が48位タイで予選を通過。なぜ彼らはこんなに強いのか? 7年前にオーストラリアからやってきたJGAナショナルチームのヘッドコーチ、ガレス・ジョーンズ氏に話を聞いた。

ジョーンズ氏と仲が良く、3年ぶりに日本オープンに出場したアダム・スコット(オーストラリア)は開幕前にこう話している。「彼はゴルフの技術だけでなく、メンタルの面でも選手たちとしっかりコミュニケーションをとって、“自信”をつけさせている」。確かに、金谷や中島、蝉川のこれまでのコメントを見ても、「プロとかアマチュアは関係ない」「優勝を狙っている」といった自信を感じさせる言葉を何度も発してきた。

「まず彼らには自分の能力を知ってもらう。私がよく言っているのは『リアル・コンフィデンス』(本当の自信)。統計的なデータを見ながら、これが自分の強みで、これが自分の弱みだと把握し、自分の強みを出せば戦っていける。それをリアル・コンフィデンスという形で説明している」とジョーンズ氏。先月優勝した蝉川は、ドライバーに絶対の自信を持っている。これは統計データでも実証されているのだろう。

「次に話すのはコントロールできることは何で、コントロールできないことは何なのか、ということを選手と一緒に整理します。ウォーミングアップだったり、トレーニングの仕方、ラウンド中には何を食べて飲むか。そういったコントロールできることと、コントロールできないことをしっかり整理していくことによって、実際に何をすればいいのかということを明確にしていく作業を行う」

そして、JGAナショナルチームが提供するメソッドに加え、選手たちが自信を持つようになった一番の要因として、ジョーンズ氏は『ブラザーフット』というキーワードを挙げる。

「選手たちが作り上げたチーム文化がだんだん成熟してきて、ブラザーフット(兄弟のような関係)がどんどん大きくなってきた。選手同士が刺激し合ってともに強くなっていったのです。ヒデキ(松山)がアジアアマで2回勝ち、タクミ(金谷)が18年のシンガポールのアジアアマで勝って、ケイタ(中島)が2位。翌年は中国でタクミは勝てなかったけど、ケイタは見ていた。その翌年にケイタが勝って、それを見ていたタイガ(蝉川)がいて…あいつが勝ったんだったら俺も勝てるとタイガも思っただろうし、刺激し合ってつながってきている」

JGAナショナルチームの選手たちが世界やツアー活躍したことで、指導方法もより強固なものになってきた。「結果が出なければ、いくら指導の内容が良くても証明するものがなくなってしまう。選手たちが頑張って実際に成績を出したことによって、彼らが自信をつけただだけでなく、『これでいいんだ』と指導方法も確証されたと思う。そういうものの連続が動きを作っているのでしょう」。

ジョーンズ氏はきょうも朝から日本オープンの会場を訪れ、JGAナショナルチームの選手たちや、金谷や中島といったOBにも声をかけている。今大会でもまた“自信”と“確証”の連鎖を生みそうだ。

<ゴルフ情報ALBA.Net>