<日本プロゴルフ選手権 3日目◇6日◇グランフィールズカントリークラブ (静岡県)◇7219ヤード・パー71>
厚い胸板に風格を感じる。4人が並ぶ首位タイから出た堀川未来夢は、前半から着実にバーディを重ねて、この日8バーディ。1つのボギーを叩いたが、この日ベストスコアタイとなる「64」をマークし、トータル14アンダー。混戦を抜けだして2位に3打差をつけて今季初優勝に大きく前進した。
「ミスというミスは15番の2打目ぐらい」。フェアウェイから135ヤードの2打目を右打ち出してピンまで17〜18メートルにオン。そこから3パットのボギーを喫したが、「ほかはすべてマネジメント通りでした」と危なげなくスコアを伸ばした。
みなぎる自信は“病気”の克服だ。かねてからイップスを公言しており、前半戦は発症。「長い距離も短い距離もダメでした。片手で打とうかなって思うほど」グリーン上で苦しみ、今季は22位タイが最高成績にとどまっていた。
5週間のオープンウィーク中に矢野東や丸山茂樹といったベテランプロのヒントを自分に落とし込んだことで、病気どころかパッティングに自信を持っている。「嫌な感じもなくて、自分が思うところに打てている。入っても入らなくてもストレスがないです。今は並みの人間になってきたと思います。なるべくスムーズに早く打つようにしています。考えることをシンプル化して、頭の中を整理。素振りをして、スッスッと打てるように。結果はあんまり考えないようにしています」。
堀川の病気はいい時は症状が出なくなるが、悪くなると途端に重症化する。「イップスになったのは原因があると思うので、それを把握して確実に直していきたいです。今は調子がいいですが、またいつ出てくるか分からないので」。ある種の持病のような状態だ。
「またいつイップスになるか分からないので、ラウンド中はいい時の原因を考えて、イップスを直せていければいいかなと思っています」。いい時の感覚を持ち続けることでイップス克服を目指す。
最終日最終組も10回目と慣れた位置。今季初優勝に向けて、いまのところは死角が見当たらない。「今回はあまりプレッシャーないです。最低3アンダー。自分がいいプレーをすれば優勝できるかなと思います」。今季初優勝、通算3勝目を狙う戦いは、イップス対策のカギを見つける戦いでもある。(文・小高拓)
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