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ハキハキ明るく華やかな藤田かれん 短距離で鍛えた瞬発力とトークも“キレ”が抜群【ステップ・アップ・ツアー見どころ】

2022年のステップ・アップ・ツアー6戦目となる「ECCレディス」が、兵庫県の北六甲カントリー倶楽部 東コースで1日(水)に開幕する。ご存じ英会話で有名なECCだが、ECC学園を運営し、世界を目指すゴルファーを育てていることも知られる。そこで同ツアーを放送するCSチャンネルのスカイAで16年からラウンド解説を行うプロゴルファーの下村樹美に、今週の見どころを聞いた! 今回は華やかなルーキーの一人をご紹介!

■ECCといえば英会話!=世界へのトビラを開け!

優勝者にはECC特別レッスン1年分が副賞として贈呈される今大会。過去、これを行使して英会話を習った選手はいたのだろうか…。それはさておき、誰もが知るECC。やはり英語があふれる大会となっているのか?

ということではないが、ECCは通信制のECC学園高を運営しており、ここのゴルフ部はいまや全国が注目するところ。そのホームページの一番上には、『世界で活躍する選手を目指す』と大きく掲げられている。同校の生徒に話を聞いてみると、「当然英語は話せます! と思います!」という答えが返ってくる。

今回は、同校から6人が出場。ECCの名前が入ったウェアで臨むECCガールズには注目せずにはいられない。著名なコーチ陣やトレーナー陣を迎え、練習やトレーニング環境も整備されるだけに、そこから世界に羽ばたく選手が今後出てきそうだ。世界への挑戦を後押しするのがECCの使命といってよさそうだ。

「アマチュアの活躍も毎回みどころです。昨年は川崎春花選手が優勝争いをして、11月のプロテストに合格しました。ECC学園はコーチに男子プロがついて、育成環境がすばらしく、今後の活躍が楽しみです」と下村も注目する大会だという。

■プロテストの場でも自分を客観視

そんな異国情緒(?)漂う大会で下村が注目したのは、昨年11月のプロテストに3度目の受験で合格した2000年度生まれの藤田かれん。「ミレニアム世代の一人です。同級生からは遅れましたが、注目です」。直近では、米国女子ツアーの「バンク・オブ・ホープLPGAマッチプレー」で古江彩佳が決勝戦まで進んだが、その古江をはじめ西村優菜、吉田優利らと同じ世代。なるほど、これは期待ができそうだ。

大会会場で藤田を見た下村の印象は「華やか」のひと言。「力のある眼差しでハキハキと話ができる選手。自分の言葉に自信を持っているのだと思います。決断力が早く、やりたいと思ったことはやり切るタイプなのかなと思いました」。まずたたずまいがルーキーらしからぬ堂々としたもの。そこに、華やかな雰囲気もまとっているとあれば、目を引く存在に違いない。

「自分のプレーに対しても前向きになれますし、話の内容にもマイナスなことが少ないんです」というのが話をした際の印象。「昨年のプロテストではトップ合格した尾関彩美悠選手と同組だったのですが、尾関選手のプレーを見て『アプローチとパターが上手で、そこが自分には足りない部分だと感じた』と客観的に見ていたようです。それをプロテストの場でできるのはよほどのこと。自分のことで精一杯になるのが普通ですから」というのも藤田の強さだという。

■トークもゴルフもキレが命!

やるべきことを明確にし、それをやる。そして妥協はしない。だから自信に満ちた回答が返ってくる。「とにかく諦めないという気持ちを大事にしているようです。その気持ちは誰よりも強いとも話してくれました。必ず這い上がるという意気込みを感じました」。まだまだ結果は出ていないが、必ず芽が出るとにらんでいる。

技術的な面では藤田自身もレベルアップを実感しているというが、「平均240〜250ヤードのドライバーは魅力。中学時代は陸上部で短距離をしていたようです。イコール瞬発力が養われた。これはスイングにも表れています。強い下半身が、瞬発力で飛ばすことが可能。笹生優花選手らと同じですね」とキレのあるスイングが持ち味だと下村は分析する。

「目標としている選手は宮里藍さんだそうです。プレースタイルも、笑顔も好きと話しています。そして、藤田さんもお兄さんが二人いて、一人はプロ。お父さんがコーチと宮里家にも似ています。本人は『なりたくてもなれないから、いつまでも(宮里が)目標です』と笑っていましたが、思いは強く持っていてほしいですね」とエールを送る。

月一の楽しみはネイルに行くこと。「美容にも関心があるそうです。プロは魅せる商売。技術だけで目に入る選手はそういません。プロゴルファーは人気商売ですし、華やかさで魅せる選手もいていいと思います」。もちろん、ここから技術も向上させ、結果でも魅せていきたい。

解説・下村樹美(しもむら・じゅみ)

1988年5月13日生まれ、愛知県出身。2011年にプロテストに合格。ケガなどもあり一線からは身を引いたが、16年からはスカイAでラウンド解説をしている。プロ目線での解説が好評。今年もステップ・アップ・ツアーから選手のプレーの模様や声を届ける。

<ゴルフ情報ALBA.Net>