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モチベーションは「家を買うこと!」 世界ランキング1位のコ・ジンヨンが圧勝

「CMEグループ・ツアー選手権」最終日、母国でジュニア時代からともに戦って来たキム・セヨン(韓国)を1打差で追いかけるコ・ジンヨン(韓国)は、プレー前の早朝にネットでテキサス州ダラスの家を探していたという。

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世界ランキング1位、18年から米LPGAツアーに参戦しているジンヨンにはまだ、米国内に“自宅”がなかった。仲良しのM・J・ハー(韓国)がダラス郊外のフリスコに拠点を持っていた。ジンヨンはM・Jを尋ねて「1〜2週間滞在してみた。とてもフリスコが気に入ったので、ここに家を買いたいと思った。でもアメリカの銀行口座にお金がなくて…。ぜんぶ韓国に送ってしまっていたから(笑)」。前週の「全米女子オープン」で2位タイに入り、48万ドル(約5000万円)を獲得していたが、「もっとお金があれば…。今週は家を目指してがんばりたい」とモチベーションにした。

前半で1つ伸ばしてキムを捉えると、明暗を分けたのは11番パー4。ティーショットを曲げてボギーにしたキムに対し、コは4メートルを沈めてパーとすると、勢いに乗り12番から3連続バーディを奪ってあっという間にリードを広げた。

4打リードで迎えた最終18番。キャディのデビッド・ブルッカー氏がジンヨンにささやいたという。「チャンピオンらしく最後は決めよう」。

それはブルッカー氏が元バッグを担いでいたロレーナ・オチョア(メキシコ)の言葉だったという。ジンヨンは約4メートルのバーディパットを沈めると大きく投げキッス。女王らしく堂々の強さで鮮やかな勝利だった。

今年はわずか4試合で2年連続の賞金女王。しかも前週の全米女子オープン2位でCMEポイントを圏外から46位に挙げて最終戦に滑りこんだ。

「出られないと思っていたから、ホテルも飛行機も何にも準備していなくて…。バタバタで大変だった」と笑う。

一方負けたセヨンには「彼女はメジャーにも勝って、素晴らしいシーズンを送っていた。だからプレーヤー・オブ・ザ・イヤーを獲得して本当に良かった」と喜んだ。

前週まで賞金ランキングもプレーヤー・オブ・ザ・イヤーもトップを走っていたのは同じ韓国の32歳インビー・パークだったから、これも時代の流れなのかもしれない。

21年の開幕戦は4週間後。「これから家を探して家具を買って、とても忙しいオフになる。でも、もう来季の準備はできている」とジンヨンは満面の笑みだった。(文・武川玲子=米国在住)

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