「古いクラブには絶対戻らない」 片山晋呉は最終戦のために、他メーカー同士のコンボアイアンを投入!

<ゴルフ日本シリーズJTカップ 2日目◇3日◇東京よみうりカントリークラブ(東京都)◇7023ヤード・パー70>

22度目の最終戦出場となる48歳の片山晋呉。初日は1アンダー・9位タイとまずまずのスタートを決めた。毎週どころか毎日のようにクラブセッティングが替わる片山だが、この最終戦ではスリクソンとヤマハが混ざったコンボアイアンで臨んでいる。

クラブフリーとなってから、片山のキャディバッグのスターティングメンバー争いは激化。ドライバーはピンにキャロウェイ、プロギアやオノフが入るときもある。同じヘッドでもシャフトが違ったり、グリップが違ったり。もしかすると、エースドライバーは存在しないのかもしれない。ただアイアンはほぼ固定で、昨年からスリクソンの『ZX5』をずっと使い続けてきた。ところが先週の「カシオワールドオープン」の3日目からヤマハが今秋に発売した新アイアン、『RMX VD』が加わったのだ。

ただアイアンをそっくり替えるわけではないのが片山流。「VDは7、8、9番だけ、PWからはZX5にしました。僕のバッグはもう7社くらい入っていますから」と笑う。ここで、片山のアイアンを整理すると、アイアンは7番からで、7、8、9番アイアンはヤマハの『RMX VD』、PWとAWはスリクソンの『ZX5』、ウェッジは55、60度のキャロウェイ『JAWS』が入っている。あくまで開幕前日の時点で、という注釈はつく。

7I:ヤマハ RMX VD(市販のロフトは32度)

8I:ヤマハ RMX VD(市販のロフトは36度)

9I:ヤマハ RMX VD(市販のロフトは40度)

PW:スリクソン ZX5(市販のロフトは44度)

AW:スリクソン ZX5(市販のロフトは50度)

55、60度:キャロウェイ JAWS

同じメーカーのなかでアイアンを組み合わせる選手は、米ツアーにも日本ツアーにも少なからずいるので、それほど珍しくはない。ただ、他メーカーのアイアン同士を組み合わせるのはあまり見たことがない。ロフトはほぼ4度ピッチで問題なさそうだが、なぜ最終戦前の大事なタイミングでスコアメイクの要となるアイアンを替えたのか。

「今週は砲台グリーンが多いので、球の高さで止められるアイアンがほしいと思った。本当は先週の初日から使いたかったんだけど、『予選を通ってからにしてください』って(キャディの)清水に止められて(笑)。予選を通ったからやっと替えられた。落ち際の角度が良いから今週にはいいかな」と前週の3日目から試合で投入した。もともと止まりやすくて、よりシビアな距離感が必要なPWとAWはそのまま残している。

片山のいう“落ち際の角度”が鋭角だと、ボールは止まらない。球の高さが出ると、その角度が上がってグリーンにボールが止めやすくなるわけだ。片山は「先週はダメなのはわかっているから」と半分試合は捨てて、今週の最終戦に向けて調整していたことになる。

そもそも、7番ウッドや9番ウッドといったアマチュア向けのショートウッドをツアーで初めて投入したのは片山だった。最初は「変わっているな」と思われていたが、そのうち他の選手たちも片山を追随し、いまは飛ばし屋でも7番ウッドを入れる時代になった。片山が新しいクラブを次々と試して使うのは、初シードを獲るまでに3年かかった苦い経験による。

「糸巻きボールと小さいメタルヘッドからの移行が遅れた」と、最初はなかなか結果が出なかったため、「新しいクラブをどんどん使って、古いクラブには絶対戻らない」と決めた。その姿勢は、50歳近くになったいまでも貫いている。「マスターズで4位に入った(09年)クラブは全部あげちゃって、もう手元にはない」とまでいう。昔のクラブには一切固執していない。

最終戦出場選手のなかで最年長となる48歳は、「きょうも通販で1本買いましたよ。面白そうなのがあったから。間に合うかな?」と目を輝かせる。そのクラブの詳細は教えてくれなかったが、もしかしたら3日目や最終日にも、新兵器が登場するかもしれない。

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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