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劣勢でも「特に傷ついてない(笑)」 古江彩佳の言葉から感じられた“マッチプレーの強さ”の理由

<バンク・オブ・ホープ LPGAマッチプレー 最終日◇28日◇シャドー・クリークGC(米ネバダ州)◇6765ヤード・パー72>「ここまでも(決勝に来るのも)簡単ではないのでうれしいはうれしいですけど、2年連続ここで負ける、というのは悔しい」。昨年に続いて、ツアー唯一のマッチプレー大会で決勝に進みながら、そこで敗れた古江彩佳は、こんな相反する感情を同時に抱きながらコースを後にすることになった。

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決勝の相手はタイのパジャレー・アナナルカルン(タイ)。世界ランクは古江の18位に対し97位と“格下”だが、米国ツアーで2021年に1勝を挙げていた実力を持つ。今月30日で24歳になるアナナルカルンは、年齢的には古江より1学年上だが、同世代といえる。そんな今後のツアーを背負う若き2人の対戦で、最初にスコアを動かしたのは古江だった。2番で相手がボギーを叩いたのに対し、しっかりとパーをセーブ。早々に1アップとした。しかし直後のホールを落としスクエアに戻されると、徐々にアナナルカルンペースになっていく。「飛ばされて、ショットもまとまって、チップも寄ってパーセーブ…というゴルフをされて、やっぱり苦しかった」。米ツアー内で見ると飛ばし屋とはいえないものの、アナナルカルンの今季飛距離は平均258.85ヤード(88位)。一方の古江は246.07ヤード(144位)と、その差は10ヤード以上ある。このアドバンテージを生かしチャンスにつけるシーンもよく見ることができ、それがプレッシャーへとつながった。ただ、古江も正確無比なショットで米ツアーを戦う“らしさ”も垣間見せる。2ダウンのビハインドで迎えた13番パー3で、7番アイアンでのティショットをピンの根元にピタリ。グリーン周りから歓声もあがる一打で、1つ差をつめた。しかし反撃もここまで。14番を獲られまたも2ダウンに戻されると、15番でともにボギーを叩くなど差は縮まらない。本人は「スキを見てアップを獲っていけたらよかった」と攻めあぐねた感を否定しない。17番で3ダウンになり、ここで決着。3&1で敗れた。10番などで決定機を生かせなかった部分も悔いが残る。「自分がチャンスにつけたところで外す、というのも結構多かった。うまく流れを持っていけなかったし、そこは反省点かなと思う」。そしてこの結果を「一つの経験。いいゴルフができたというのは次につながると思う。今年もたまにいい順位で上がれているので、そこは自信に思いながらやっていきたい」と、次への糧にする。その言葉の随所に、マッチプレーで強い理由が感じられる。劣勢の時の心理状況を聞かれても、「特に何もないですね。残りホール数にもよるんですけど、最初のほうは特に傷ついてないです(笑)」と笑いながらの受け答え。今後の目標についても、「特にないです。その試合を一つずつ頑張って徐々にポイントを上げていければ」と、ただ目の前のことに集中するスタンスは変わらない。一戦必勝。まさにマッチプレー、特にトーナメントで大事になる精神といえる。5月上旬に行われた国別対抗戦を終え、一時帰国。2週間のオープンウィークを挟んだ。「日本から帰ってきてすぐの試合を、いい順位であがれたのは大きい。この調子のままメジャーに臨めるように頑張りたいです」。視線は6月22日開幕の「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」(ニュージャージー州)、7月6日開幕の「全米女子オープン」(米カリフォルニア州)に向けられている。「(2試合とも)去年は予選落ちをしているので、まずはそこを通過するという強い気持ちで向かいたい」。一対一の試合を決勝まで無傷で戦い、さらに緊張感あるなか2日続けて2ラウンドを戦い切った姿で、そのメンタルの強さも改め印象づけた。これを弾みに、大舞台での好結果につなげていきたい。

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