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“ゴルフ界の若大将”もまもなく37歳 池田勇太が満身創痍で3年ぶり22勝目へ「最大限のプレーをしたい」

<カシオワールドオープン 3日目◇26日◇Kochi黒潮カントリークラブ(高知県)◇7335ヤード・パー72>

「ゴルフ界の若大将」。10年以上前はそう呼ばれていた。2009年に初優勝を含む年間4勝を挙げ、翌10年も年間4勝。20代前半から石川遼とともに時代を築いてきた池田勇太も今年12月には37歳を迎える。初優勝から毎年優勝を重ねて19年までに通算21勝を挙げた。現役では永久シード(通算25勝)に最も近い位置にいるが、この3年は勝ち星から見放されている。

この貫禄が池田勇太“らしさ”【写真】

「しばらく優勝から遠ざかっているのは、モチベーションにつながらない。勝ってナンボの世界だから」。生涯獲得賞金は13億円を超えた男も加齢との戦いも大きい。「年とともに体にもガタがくる」と今年は万全の体調で臨めていない時期が長い。

7月の「長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップ」の第2ラウンド中に左首痛を発症。ゴルフをする状態ではなかったが、首の痛みをかばって夏場に試合に出場して「左半身全部」に痛みが出た。秋以降は休む試合もあったが、思い入れの強い「ANAオープン」には満身創痍で登場した。初日から首位を守ったが最終日にかわされて3位。それでも鞭(むち)を打って大会を盛り上げたことは自身でも納得する。

体の痛みの原因は、顎関節のバランスが崩れているとのことだった。10月の「日本オープン」では顎関節の矯正器具を口内に装着して試合に臨んでいる。「違和感はありあり。最初は打てなかったから」といい、歯を食いしばれないぶん、ドライバーは20ヤードほど飛距離が落ち、2打目の微妙なニュアンスのショットをイメージどおりに表現できないもどかしさはある。

「今やって治さなければもっともっとつらいものになるから」。半年は矯正器具を口に入れ、来年には歯の治療と正常に戻るには1年はかかるという。それでもまだまだ戦う気持ちがあるからこその決断だ。

やはり勝ってナンボの世界。優勝を追い求める池田はもどかしさを持ちつつも、フィールドの平均スコアが「68.0」と伸ばし合いとなった3日目に「64」をマーク。首位と4打差の3位タイで最終日は最終組で追いかける。

勝てない時期が続きモチベーションを保つのが難しくても諦めない。「苦しい時も多いけど、トーナメントでプレーしている中で、ほんの一瞬の楽しめる瞬間っていうものを大事にしてやる積み重ねが大事」。人前に立ってプレーしたり、自分で納得できる1打の小さな喜びを噛みしめて戦い続ける。「器具を(口に)入れて体も万全ではないけど、きちんとプレーができる状態には持っていけている。3日間いいゴルフができていると思う。若い連中みたいにのびのびプレーできないかもしれないけど、今の自分にできる最大限のプレーをしたいと思う」。19年5月の「ミズノオープン」以来の優勝を見つめて、歯を食いしばる。(文・小高拓)

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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